今年のボジョレー・ヌーボー解禁日は11月20日(木)だった。解禁日は、毎年11月第3木曜日と決められている。
毎年盛大に売り出されるため美味しいのかと思いきや、飲んでみてがっかりしたという経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。しかし、そのがっかりは早トチリした飲み手側が悪い。そもそもボジョレー・ヌーボーとは味わうワインではないのだ。
ボジョレー・ヌーボーとは、フランスのブルゴーニュ地方ボジョレー地区で作られるワイン(ボジョレー)の新酒(ヌーボー)である。シャンパンやスコッチと同じように、特定の地域で作られたお酒というものだ。
どうやら、一般人がこれほどボジョレー・ヌーボーを飲む国は日本だけらしい。
しかし、なぜ「ボジョレー・ヌーボー=美味しい」という印象があるのだろう。
1983年「これまでで一番強くかつ攻撃的な味」
1985年「近年にない上物」
1992年「過去2年のものよりフルーティーで、軽い」
1995年「ここ数年で一番出来が良い」
1996年「10年に1度の逸品」
1997年「まろやかで濃厚。近年まれにみるワインの出来で過去10年間でトップクラス」
1998年「例年のようにおいしく、フレッシュな口当たり」
1999年「1000年代最後の新酒ワインは近年にない出来」
2000年「今世紀最後の新酒ワインは色鮮やか、甘みがある味」
2001年「ここ10年で最もいい出来栄え」
2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」
2003年「110年ぶりの当たり年」
2004年「香りが強く中々の出来栄え」
2005年「タフな03年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ『ザ・ヌーボー』」
2006年「今も語り継がれる76年や05年に近い出来」
2007年「柔らかく果実味豊かで上質な味わい」
2008年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
2009年「過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度の出来」
2010年「2009年と同等の出来」
2011年「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」
2012年「偉大な繊細さと複雑な香りを持ち合わせ、心地よく、よく熟すことができて健全」
2013年「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
2014年「エレガントで味わい深く、とてもバランスがよい」
2000年前後は「過去最高」のインフレ状態である。この強烈なキャッチコピーによって、「ボジョレー・ヌーボー=美味しい」と刷り込まれてしまったのだろう。
おいしい飲み方以上の紹介でボジョレー・ヌーボーがどんなものなのか、だいたいおわかり頂けただろう。
まず、年内には飲みきること。ワインは寝かせるほど熟成されるイメージがあるが、ボジョレー・ヌーボーは保存しても美味しくならない。これを大前提として、具体的な飲み方はというと、ボトルを寝かせて保存し、飲む前に10~12℃くらいに冷やす。冷蔵庫に1時間程度入れておけば、ちょうどよい温度になるだろう。
世界で日本だけしか盛り上がってなかったとしても、まだ飲んだことがない人は一度くらいは飲んでみてはいかがだろうか?
(文・編集部)イラスト:jennyb79 / 123RF.com