スーパーなどで試食コーナーがあったり、デパートには化粧品の無料サンプルなどがあったりします。
私も好きで、スーパーに行ったときはよく試食したりするのですが、そもそもこの試食やサンプルはどれだけ食べたり使ったりしても法律上問題ないのでしょうか。
ご自由にお食べください、お使いくださいとある以上、自由に好きなだけ食べたり使ったりしても問題なさそうなのですが、法律上は一体どうなのでしょうか。検討してみましょう。
試食コーナーで食べ過ぎるのは法律違反!?どこまで食べて良いの...の画像はこちら >>
●自由に食べて良いが…
試食や無料サンプル(以下「試食品等」と言います。)などのものは、ご自由にお食べください、お使いくださいなどと記載されていることがありますが、これは法律的にはスーパーが試食品等を無償でお客さんに贈与する意思であると考えられます。ですので、原則的には自由に食べたり使ったりして問題ありません。食べた後その食材を購入しなくても違法ではありません。

ただし、自由とはいっても完全に自由というわけではありません。スーパー側は食材や化粧品を購入してもらう判断材料として無償で試食品等を提供しているのです。そうであれば、試食品等を食べたり使ったりしていいのは当然お客さんのみであり、あくまでも食材や化粧品を購入するかしないかを判断する限度で試食、使用を認めているということになります。
ですので、食材等を食べてそのものを購入しないということは許されるのですが、そこにある食材すべてを食べてしまうことは当然許されません。購入するかしないかを判断する限度を超えているからです。試食品等をこっそり持って帰るなどという行為も当然許されません。


●無料の氷を大量に持ち帰った人が逮捕されたケースも
以前、スーパーでお客さんに無料で提供している氷を大量に持ち帰ろうとした人物が逮捕されたというニュースがありましたが、それと理屈は同じです。これも氷は生鮮食品等を購入したお客さんに対して自宅に商品を持ち帰るために必要な限度で使用を許したものですので、生鮮食品等を購入していない人は氷の使用が許されず、また、限度を超えた持ち帰りも許されないのです。
とはいうものの、スーパー側も試食品等を1回全部食べてしまった、使い切ってしまったというだけですぐに警察に通報するようなことはないでしょう。初めは店長から注意される程度であり、その注意を聞き入れて謝罪し、2度とやらなければそれで終了だと思います。
しかしながら、これはれっきとした法律違反行為ですので、店長の注意にもかかわらず同様の行為を複数回繰り返すとなると、最終的には窃盗罪、業務妨害罪で逮捕ということになりかねません。
スーパーでの試食や無料サンプルの使用は買い物をする際の楽しみの一つでもありますし、店側だってお客さんに楽しく買い物をしてもらいたいに決まっています。
試食やサンプル使用の際には節度を守って、気持ちよく買い物をしたいものです。

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)