ため息が全部お金になったらいいのに…

鈴木詩子の「私が出会ったウンザリ女」

第22回「言い訳を聞いてくれない女にウンザリ」

 皆さんは自撮りってした事ありますか?
私は最近、意識的に撮るようにしてるんですよ。
なんでかって言うと、この間ラジオでミッツ・マングローブさんが
「自撮りは、どんどんした方がいい…そうすると自分の決め角度や、いい表情が分かってくる。

そうやって顔の筋肉をいい方向に型をつけるように意識してると、いざという時に、咄嗟にいい表情が出来るようになる」的な話をしていて、
(なるほど! それなら私にも出来るかも…)と、思ったからです。
 確かにメイクのコツも己のいい所、悪い所を知る事が大事だったりしますし…
そこから、なるべく悪い所は隠していい所を伸ばすメイク法を研究し、試行錯誤を繰り返して少しずつ上達していきます。
自撮りもそんな感じで、ちょっとした表情の訓練だと思って始めてみたら…
もう、止まらないんです!
どうせ撮るなら…やっぱり、ちょっとでもキレイに撮りたいじゃないですか?
そこから「いかに盛れるか」をテーマに自撮りをしまくるようになり…ミッツさんの言う通り色々な事が分かってきました。

 まず、王道の方法ですが…室内で自然光を背景に撮るとお肌に透明感があるように見えるんですよ。
その写真に更に透明感が出るフィルター(今は写真を盛れるアプリがたくさんあるんです…)をかけるW透明感作戦でだいぶ若く見えるようになる事が分かりました。
つまり、私にはもう透明感が無い…まぁ、要するに肌がくすんでいるって事です。


 て、事は…これからは、くすみケアに全力を尽くせばいいわけです!
あと表情問題なんですが…気づいたのが、私って性格の悪さから表情が卑屈というか…簡単に言うと歪んでるんですよね。
だから、出来るだけ笑わずに、なるべく左右対称に近づくように表情を作ると…
あら不思議!性格の悪さもさほど目立たず…ちょっとだけキレイに見えるんですよ。
 そこまで分かると、だいぶ気も済んで…だんだん自撮りする回数も減ってきました。

 そんなある日、女編集者さんに資料の為に撮った写真を見せようとしたら
つい気を抜いてしまい、カメラロールを見られてしまったんですよ…。
そこには、アヒル口や上目使い…あごに手を添えて小顔効果を狙ったポーズや、わざと目線を外したナチュラルショットの数々が…も~恥ずかしい自撮りのオンパレードです!
「ち、違うのこれは…ミッツ・マングローブさんが…あのっ…」
「あはは、いいと思います! 作家さんはこれぐらい自分を好きじゃないとね!」
「そうじゃなくて…聞いて! あの、まず己を知る事から始めるのが…」
「可愛いじゃないですか~! そうだ、この写真アー写に使えばいいんじゃないですか?(ニヤニヤ)」
(あぁ…完全に、バカにされている…て、いうか自分の写真を撮る事に恍惚としているナルシストブスだと思われてる~…)
言い訳するのを諦めて、自撮りした写真を全部消したのでした…ウンザリ☆

【鈴木詩子:プロフィール】
すずきしいこ…漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。

好きなアイドルは嗣永桃子。著書に『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)

チヤホヤされたい女子高生・桃子は、いつだって残念な感じだった。でも、そんなのもうイヤ! 立ち上がった桃子の熱い想いは、クラスのみんなに届くのか!?
オススメコミック:『女ヒエラルキー底辺少女』[コミック](青林工藝舎)/著:鈴木詩子

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