今月14日にロンドン西部の24階建ての高層住宅で発生した火災に対し、「かつての上海のマンション火災に似ている」として、中国のネットユーザーの関心が高まっている。
 
・上海マンション火災とは
 
 2010年11月15日午後に、改修工事中の28階建てマンションで起こった大規模火災。
外壁を覆っていた可燃性のナイロンの網に作業中の火花が散って引火したことが原因と想定されている。
 
 平日の日中に発生したことから、マンション内にいたのは定年退職した高齢者と、そこへ預けられていた幼い子どもが多く、58人が死亡、70人以上が負傷したと報じられた。
 
 発生現場は上海市中心部であったため、繁華街やオフィス街にいた多くの市民が、立ち上る黒煙を直接目にすることとなり、火災の恐ろしさを深く胸に刻む事件となった。
 
 マンションは今も、後世に教訓として残す目的で、建造物の骨組みに整備を施した状態で現地に残されている。
 
・ロンドン高層住宅火災との類似点
 
 住人の不始末や放火等ではなく、改修工事中の事故が原因であることが推測され、火が外壁から建物全体に広がり、被害の規模を拡大させたという点において、今回のロンドンの火災と上海マンション火災は経緯が似ている。
 
 当時上海では「これは明らかな人災だ」とされ、数多くの関係者が刑事責任を追及される結果となった。
また、「これが欧米であったらこのようなことにはならなかったはずだ」という議論がインターネット上で盛んに起こっていたことから、「実際に起こってしまった」この火災に対し、詳細な原因究明や責任問題を含め「どう対処されるのか」という点に注目が集まっているようだ。
 
 また、16日に発行された光明日報は、上海の事例も提示しつつ、急速な都市化が進む中国においてもこれは他人事ではない、ロンドンからの「警告だ」と報じている。
 
 さらに犠牲者の数は増えるのではとの見方もあるが、現時点においては、奇しくも上海と同数の58人の行方が確認できず、死亡が推定されると報じられているロンドンの火災。二度とこのような痛ましい事故が起こらないことを願うばかりだ。(編集担当:永井晶子)(写真は上海マンション火災発生から1ヶ月後の現地の様子:サーチナ編集部撮影)


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