旧正月にあたる春節を8日に迎え、中国でも「サル年」が本格的にスタートした。中国では干支にちなみ、サルが活躍する物語「西遊記」に関する話題が増えている。
中国メディア・今日頭条は7日、「まさか! 最初の『西遊記』ドラマが日本人によって作られていたとは」とする記事を掲載した。

 記事は、中国において「西遊記」が不動の人気古典文学であると紹介するとともに、初めて同国内でドラマ化された1983年版「西遊記」は未熟な撮影技術ながらも長年多くの人に愛されてきたと説明した。そのうえで、「みんな思いもよらないかもしれないが、もっとも早いドラマ『西遊記』は日本人が78年に日中国交正常化を記念して作ったものだ」と紹介。しかし、その内容は原著からあまりにかけ離れていたため中国人には受け入れられず、中国国内の放送も途中で打ちきりになったと解説した。

 記事は「ウルトラマンのような特撮を用いた、孫悟空が岩から生まれるシーンで出てくる悟空は、サルではなくまるでゴリラ」、「三蔵法師が女性」、「猪八戒もブタっぽいのは耳だけ」、「沙悟浄に至っては河童で、ちっとも風格がない」とバッサリ。さらに、本来兄弟である金角・銀角が夫婦とされたことなども「中国人には受け入れられなかった」とした。


 その一方で、「客観的に見れば、日本版の『西遊記』の撮影レベルは相当なものであり、コンピューター技術などではその後の中国版よりはるかに優れていたのである」と評価している。

 堺正章が孫悟空に扮した78年放送の「西遊記」は、日本テレビドラマ史上に名を残す作品と言っていいだろう。「原著からかけ離れ過ぎ」という中国人からの「クレーム」はごもっともだ。しかし、もし原著に忠実で、なおかつケモノっぽいメイクを施していたら、さほどヒットしていなかった可能性が高い。そこには、「外からやってきたものを日本国内の趣向やニーズに合わせて変化させる」という日本人の得意とする行動様式があるのだ。それは、今や日本を訪れる中国人観光客が必ずと言っていいほど食べる「ラーメン」にも相通じはしないだろうか。


 ドラマ「西遊記」とほぼ同じ時期、当時絶頂期にあったザ・ドリフターズがやはり「西遊記」を題材にしたドタバタ人形劇をやって、子どもたちから絶大な人気を集めた。「原著に忠実」にこだわる中国の人が見たら、卒倒してしまうだろうか、それとも「日本のIP(知財権)産業の歴史は深い」と驚くだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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