佐藤二朗の語る「うまくすれ違えない人」がいるのはなぜ?
なぜか同じ方向によけること、よくあります。うまくすれ違えてますか?(画像はイメージ)

先日、『誰だって波乱爆笑』(9月10日放送分)に登場した俳優・佐藤二朗が、苦手なこととして挙げていたのが、「すれ違えない」ことだった。

「細い道があるじゃないですか。
ほんであの、向こうから人が来るじゃないですか。冗談じゃなくて、ほぼ100%通れない」

自分自身もそうなのだが、道を歩いていて、よけたつもりが、なぜかぶつかりそうになることって、確かにある。ひどい場合には、よけながらも「あっ」とぶつかりそうになり、よけて、さらに動きがかぶってしまうことを何度も繰り返す場合もある。
ふと周りを見回すと、みんなスムーズにすれ違っているのに……。これってなぜ? 「うまくすれ違えない人」ってどんな人?


視線や動作につられて「お見合い」してしまう現象


精神科医で「ゆうメンタルクリニック」総院長の、ゆうきゆう先生に聞いた。

「前から歩いてきた人と同じ方向に避けてしまうことに関してですが、心理学用語には『同調行動』というものがあります。人は、他人の視線や動作についつられてしまいます。
それによっていわゆる『お見合い』という現象が起こります」

目の前の人とぶつかりそうになったとき、人は無意識によけようとするもの。その「よけよう」とするときの目線が、「お見合い」状態を生むそう。
「よけるときには、左右どちらか、自分の寄る方に障害物がないか、安全かをチラッと確認してから寄りますが、このとき、相手の方も無意識に視線につられて同じ方を見てしまいます。そのために、『あ、こちらが安全だな』と、相手も同じ方向に寄ってしまうことになるのです」


繰り返しよけ合ってしまう人間の本能


さらに、「よけ合って、ぶつかりそうになること」を繰り返す理由とは?
「人には連続回避本能というものがあります。一度右によけてぶつかりそうになると、反射的に左によけよう、と思ってしまいます。そのために、同時に同じ方向によけてまた反対側によけて……ということが起きてしまうのです」
「あっち向いてホイ」が苦手な人と、同様なのだろうか。

「お見合い」状態になりやすい人って、ズバリどんな人?
「相手の顔や目をよく見てしまう人。他人に同調しやすい、つられやすいタイプですね」

では、「同調しやすい」「つられやすい」人が、うまくすれ違えるようになるためには、どうしたら良いのだろうか。
「『お見合い』にならないためには、相手の視線と逆の方によけることが大切です。相手が同じ方向によけたら、動かないで『どうぞ』と反対側を身振りでしめすといいのではないでしょうか」

スムーズにすれ違えている人を見ると、たいして相手を見ていないように見えることがある。
「すれ違う」ことに対する苦手意識を一度持ってしまうと、「ぶつからないようにしよう」と相手の目線や動きを凝視し、逆に、それにつられてしまっている部分もあるのかもしれない。

とっさに「相手の視線と逆のほうによける」ことは、すぐにはできないかもしれないが、同じ方向によけてしまったら、まずは慌てず、動かないほうが無難のようだ。

(田幸和歌子)

ゆうきゆう 精神科医・著書多数。ゆうメンタルクリニック総院長(上野院)。(池袋東口院)。(新宿院)。(渋谷院)。(秋葉原院)。
池袋西口院)。(ゆうスキンクリニック池袋西口院)。心安らげるクリニックとして評判が高い。