今日の日本は、さまざまな種類のラーメン店が群雄割拠している。その中でも、カルト的な人気を誇っているジャンルが「ラーメン二郎」こと二郎系。
三田店を筆頭に西は京都、北は札幌と日本各地で圧倒的な支持を得ている。

また、インスパイアといわれる二郎グループ外のラーメン屋も点在している状況だ。その中で、今年の初めに出店した「豚ラーメン板橋店」の店長はインスパイア系列大手や、二郎某店で働いた経験があるやり手だ。今回、我々の知らない二郎系の世界を少しだけ覗かせて頂いた。

「二郎系ラーメン」の店主はどうやって誕生するのか


「二郎」に対する印象は良くなかった


――まず、店長が二郎系ラーメンを作り始めたきっかけを教えてください。

最初は二郎系をやろうと思っていませんでした。ある日、二郎を食べたことがあったんですけど、全然口に合わなくて(笑)。
その時は「二度と食わない!」と思うぐらいで、しばらく食べませんでした。それから21歳ぐらいの時に、別のお店で二郎を食べたら、前ほどの悪い印象を覚えなくて。2週間後も同じ店に並んでいたので、ハッとしました。つい最近まで印象最悪だったのに、僕の中でこうも評価が変わった食べ物は二郎以外ありません。最終的に自分の仕事にしたいぐらい魅力のあるものだから、作り始めました。

――最初は印象最悪なのは驚きました。
現在は生業にしているわけですが、独立した理由は何ですか?

はっきり言うと、お金と人の言うことを聞きたくないからです(笑)。自分の自由にやりたいのもあったし、当時は儲かると思っていました。負ける気がしなかったから、独立したんですよ。具体的に言うと、いろんな会社で経験を積んでいたけど、もうここで勉強することはないだろって。ただ、今思うと過信していた部分があったと思いますけどね。

「二郎系ラーメン」の店主はどうやって誕生するのか
圧倒的な質量と大きさ!ラーメンに使う表現ではない…


――独立する際に、二郎某店から助手にならないかと言われたとか?

そうですね。
ある店舗を受けた際に、「採用枠がないから、待ってくれ」と頼まれました。5年後に埼玉・蕨の物件が決まって独立する前日に「助手にならないか?」と声がかかり(苦笑)。独立するからとは言えないので、丁重にお断りしました。その後、蕨店をオープンさせてから板橋にも出店しました。

豚ラーメンとラーメン二郎の違い


――豚ラーメンは二郎とは、異なる点が数多くあるようですね。

うちは屋号が豚ラーメンなんですが、板橋店はスープが鶏ガラ主体。
もちろん豚も入っていますけど、僕の中で豚と鶏の黄金比があるんですよ。豚にも特徴があって、一般的に二郎系のお店は腕肉を使っていて、中にはバラ肉を出している店もあります。うちはバラ肉と腕肉を両方楽しめちゃいます!

「二郎系ラーメン」の店主はどうやって誕生するのか
屋号の「豚」は、肉の味を堪能できる!さぁ、かぶりつけ!


麺は蕨店の製麺機で作っています。実をいうと、二郎系の麺は特殊な切り方をしているんですよ。太い生地を細く切ることで、麺は自然にあの独特なウェーブがかかる。普通の麺は薄い生地を太く切るので、普通と逆なんですよね。


「二郎系ラーメン」の店主はどうやって誕生するのか
自慢の自家製麺。モチモチとした食感がやみつきになる。


お勧めの無料トッピングは、個人的に「にんにく」を入れて欲しいです。だけど、二郎の魅力は自分で味を変えられるので「アンバランスでいいから自分の好み」を選んでくれればOK。有料トッピングだと味変系の魚粉、カレー粉が量も多くて好評です。あとは、ウズラの卵もオススメですね!

「二郎系ラーメン」の店主はどうやって誕生するのか
有料トッピングのウズラ。小ぶりであるが、しっかりとした味わい。


――興味深いお話をたくさん聞かせて頂きありがとうございます。最後に今後の目標を教えてください。

まずは地方に出店したいですし、最終的には海外への出店を目指しています。
僕はドラクエみたいに、冒険がしたいんですよ。レベルが上がれば次の街に行って、船や魔法の絨毯を手に入れたら別の大陸へ渡る。同じ街に留まると、同じスケールで終わっちゃう気がします。だから、留まりたくないんです!

地方に出店するビジョンは見えています。例えば蕨や板橋の店を失う覚悟なら、ここならいけるといったイメージもできています。あくまで例えなので、今の店を捨てるわけではなくて、他の人に任せながら挑戦することを考えています。

「二郎系ラーメン」の店主はどうやって誕生するのか
フレンドリーな店長。彼が話す笑い話も、無料トッピングの一つだ!


店長は「僕は『二郎の魅力』をより多くのお客さんに届けたい。これまでの経験が全て繋がって、今の目標に至ったんです」と爽やかな笑顔で語ってくれた。彼の二郎に対する愛情は味に出ており、初心者にも優しいテイストになっている。「豚ラーメン板橋店」に行けば、今まで味わったことがない魅力に遭遇できるかもしれない。

サービス特典として店長に「エキサイトニュースを観た!」と伝えれば、有料トッピング「ウズラ、魚粉、カレー粉」から一品を無料サービス(豚ラーメン板橋店限定)。期間は記事掲載後から「1ヶ月ぐらい(店長いわく)」。

(高橋アオ)


取材協力
豚ラーメン板橋駅前店
東京都北区滝野川7-2-6 白井ビル1F
営業時間
平日 11時半~14時半 18時~ 23時
日曜日 定休日
Twitter:@butaramen1101