六花亭の「マルセイバターサンド」や、「じゃがポックル」、「とうきびチョコ」、ルタオの「ドゥーブルフロマージュ」、ロイズの生チョコや「ポテトチップチョコレート」、北果楼の「北海道開拓おかき」などなど、北海道には美味しい土産が本当にたくさんある。

行くたびに「買って帰りたいものリスト」が増えてしまい困るほどだが、最近そこに、さらに「絶対に買わなきゃいけないもの」が加わってしまった。


それは、きのとやの「札幌農学校 北海道ミルククッキー」だ。
地味なのに美味「札幌農学校 北海道ミルククッキー」はずぶずぶ抜け出せなくなる危険なお菓子

売店の女性が美味しさを熱弁してきた


初めて巡り会ったのは、新千歳空港の売店で。
「これ、食べてみて! すごく美味しいから! もともと札幌の小さな洋菓子屋さんからスタートして、みるみる人気になっていったんだけど、パッケージが地味でしょ? どうも目立たないのよ。こんなに美味しいのに、もったいない!」
売店の女性の熱弁に興味をひかれて、試食してみると、驚いた。
素朴で地味なパッケージの中身は、やはり素朴で地味な四角く薄く、飾り気のないクッキーだ。にもかかわらず、一度食べたら、濃厚なミルク感と、ちょっとかためのサクサク食感が忘れられなくなる。しかも、札幌でしか買えないというのも口惜しい。


実は自分と同じく、このクッキーにハマってしまった人は多いようで、ネット上には「素朴な感じで大好き!」「(北海道土産の中で)一番好き」「美味すぎ 止まらない」「取り寄せしたいレベル」などの声が多数ある。


原材料はすべて北海道産


いつ、どういったきっかけで作られたものなのか。きのとやに聞いた。

「きのとやは、全国で初めてケーキの宅配を手掛け、町の小さなケーキ屋さんとして1985年に設立しました。当初は生菓子が中心で、お土産菓子をあまり扱っていなかったため、『日持ちがして美味しい、北海道らしいものを作ろう』と考えました。そうした中で、北海道は酪農が日本一盛んであり、農業も盛んだということ、お菓子の素材も豊富であることから、『ミルククッキー』を作ることになり、2005年に誕生したのが、北海道大学認定で、その前身である札幌農学校の名を冠した『札幌農学校 北海道ミルククッキー』です」(広報担当者)

北大を応援する意味から、一部売上を北大の教育・研究支援のために寄付しているというつながりもある。
素朴なのに、妙に後を引くミルクの濃厚さと、しっかりした歯ごたえがありつつ、ほろっとくる食感は、どのように作られたのか。

「北海道のバター、小麦粉を100%使用するなど、原材料はすべて北海道産とし、素材本来の味を引き出す努力をしています。濃厚なミルクの風味は、ミルクの含有量を非常に高いためです」

なぜ地味なパッケージなのか


落ち着いたミルク色の地に「札幌農学校」の冊子の書体がそのまま書かれたパッケージは、シンプルで、シブい。
地味なのに美味「札幌農学校 北海道ミルククッキー」はずぶずぶ抜け出せなくなる危険なお菓子

単独で見ると上品で味わい深いデザインだが、空港の売店の女性が言うように、確かに地味。なぜこんなにも地味なのか。
「パッケージには牛乳パック製造時に廃棄物となる紙を再利用しております。商品そのものが質実剛健で、素朴で美味しいものを目指していますので、名は体をあらわすといいますか。
『かえってシンプルだから目立つ』という声もいただきますし、目立って見栄えすることだけがパッケージの目的ではないと考えております」

北海道の名だたる名物の中で、この小さな洋菓子屋さんから生まれたクッキーは、「美味しいと聞いて」「ひとからもらって、好きになった」など、じわじわと評判が広がっていき、発売以来、売上が下がったことは一度もないという。

知る人ぞ知る、北海道の新定番土産「札幌農学校 北海道ミルククッキー」。一度知ってしまうと、不意に猛烈に食べたくなる、素朴な顔して危険なお菓子なのだ。
(田幸和歌子)

きのとや8店舗(白石本店、琴似店、東苗穂工場直売店、大通公園店、新さっぽろ店、大丸店、丸井今井店、新千歳空港店)にて販売中。ネット通販も。