3歳未満の飛行機代、タダなのにチケットは必要な理由
赤ちゃんのぶんのチケットもお忘れなく。

先日、関西に行った際、大阪国際空港(伊丹空港)のANAの保安検査場付近で不思議な看板やポスターをいくつも見かけた。

それは「お子様分もチケットが必要です」「お一人様一つずつ必要です」といった注意書きである。


こんなことをわざわざ掲示するなんて、子ども分のチケットを買い忘れる人なんて、そんなにいるもんなのか?
不思議に思っていたところ、飛行機から降りた際、すれ違った男女二人組の女性のほうが連れにこんな話をしていた。

「ちゃんと座席指定してあったのに、座ってる人いて、なんか子どものチケットとってなかったとかで、CAの人といろいろ話していて、結局、私が席移動になったんだよ?」
「へえ。日本人?」
「そう。普通に日本人」

もしかしてホントに子ども分のチケット買い忘れってけっこうあるの? 乳幼児(6歳未満)は乗車料金のかからない新幹線などと混同しているのだろうか。
ANA伊丹空港内オフィスの広報担当者に聞いた。


運賃不要でもチケットは必要


「3歳未満は、ひざにのせる場合、座席を必要としないため、小児運賃はかかりません。しかし、小さなお子様であっても、人数確認のために必ずチケットが必要ということで、看板を出しております」

「運賃はかからないけど、チケットが必要」とは、つまりどういう状況?
「チケットは運賃がかかっていないお子さんの分も含め、搭乗する方全員分必要となります。
ご家族でいらっしゃる場合、お子さんがチケットをかざさずに通過することがないように、また、スムーズに通過できるように一人一つずつ持ってくださいと呼びかけています」

例えば、家族でいるときに、よくあるのが、「お父さん、あるいはお母さんが家族全員分のチケットをまとめて持っている」というパターンだそう。
そうした場合、検査場で「あれ? 子どもの分は? お前が持ってるんじゃない?」「あなたに渡したでしょ?」といったことが起こり、手間取るために渋滞になるわけだ。

また、チケットをかざさないで通過してしまう子どもがいると、人数確認で合わなくなってしまう。


家族全員チケット取り直しになる場合も


ちなみに、子どもの分のチケットを買い忘れるという人は?
「お子さん分のチケットを買い忘れるというケースも確かにありますが、数としてはかなり少なく、稀です」

子ども分のチケットを買い忘れた場合は?
「もちろんチケットを購入していただきます。もし、空席がない場合には、ご家族の方皆さんの分を取り直していただくことになります」

確かに、映画館やコンサートなどのチケットは、幼い子の分は親がまとめて持って通るケースは多いだろう。
だが、新幹線の改札では6歳以上は1人1枚チケットが必要だし、飛行機だって同じこと。

ただし、飛行機の場合は、小児運賃のかかる下限が3歳と低年齢であることに加え、搭乗者全員分チケットが必要であることから、「赤ちゃんの分も」「子どもの分も」と強調しないと、親がまとめて持って通過しようとするケースが多いのも頷ける。

理由を聞いてみると不思議なことでもなく、自分の子どもの分を忘れる人が多いというわけでもないのでした。
(田幸和歌子)