お坊さんがランウェイを歩いた！ 「美坊主コンテスト」1位になったのは…

東京ビッグサイトにて、葬儀・埋葬・供養などの終活に関する専門展「エンディング産業展2016」が開催されました。



会場には霊柩車、祭壇、墓石、骨壺など、さまざまな設備や新しいサービスが展示されていました。



その会場の一角、イベントステージにて「第2回　美坊主コンテスト2016」が開催されました。観客の投票で“日本一美しい僧侶”、いわゆる“美坊主”が決まります。


“美坊主”といっても、いわゆるイケメンを選ぶコンテストではありません。お説法、立ち居振る舞い、姿勢などを見て、観客が「この人ならお願いしたい」と思うお坊さんに投票するイベントです。内面からにじみ出る美しさを競うのですね。

108名のエントリーの中から厳選された5名が登場……する予定だったのですが、あいにく当日は台風が直撃。2名が欠場となり、3名でのコンテストとなりました。

お坊さんがランウェイをウォーキング

出場者3名が登場しました。

＜エントリー＞
横山諦元さん（日蓮宗　法榮山　真住院／千葉県）
長谷雄蓮華さん（浄土宗　大法寺／愛知県）
大澤香有さん（曹洞宗　吉藏寺／東京都）

大澤さんは唯一の女性です。イベント中、MCの方が「大澤さんは女性ですが、はじめて髪を剃ったときはどんなお気持ちでしたか？」と質問していました。

大澤さんは「また伸びてくるからいいか、という軽い気持ちでした。いま、出家してから初めて髪を伸ばしています。というのも、剃髪しているというだけで特別に見ていただけますし、何もしていなくても敬われてしまう。それがすごく嫌で、剃髪を捨てて再出家、ということで8年ぶりに伸ばしているんです」と答えていらっしゃいました。

１次審査はランウェイと第一印象。宗派もお寺もバラバラの3名が集まりました。ひとくちに「お坊さん」と言っても、袈裟や持ち物など、こんなにも違うのですね。

お坊さんも足がしびれる？ ぶっちゃけトーク

2次審査はトークショー。○×の札も使いつつ、質問していきます。

MC「お坊さんになる、と言ったら友人から偏見を持たれたことがある？」



大澤さん「大学4年生のとき、友人から『貴重な20代を、頭を丸めてすごすのか』と半分泣きながら止められました。それでもやはり興味があったので、この道に進みました」

MC「坊主まるもうけ、という言葉は嫌いだ。○か×か。」



横山さん「お坊さんも実は税金を払っています。法人税、消費税、お酒を飲めば酒税など。固定資産税がないだけです。私のお寺は小さいので、副業として看護師の仕事もしています。そんなお坊さんもいる、ということを知っていただければありがたいです」

長谷雄さん「私も副業で、ラジオパーソナリティや落語家としての活動をしています」

MC「長時間の正座で、足がしびれて立てなくなってしまったことはありますか？」



長谷雄さん「3人の中でいちばん身体が大きいですが、足にクッションがあるぶん、あんまりしびれません。どうしても立てないときはおもむろに後ろを向いて、足がなおるまでお説教をします。太っている人のほうが、しびれづらいと思いますよ」

大澤さん「正座はいつまでたっても慣れないですね」

MC「一番つらかった修行は？」



横山さん「私は体育大学出身で、お坊さんになる前はずっとスポーツをやっていました。それまでずっと動いていた人間が、お坊さんになったら『じっと座っていろ、動くな』という環境になってしまったのが辛かったですね」

MC「では、お坊さんになって良かったことを教えてください」

横山さん「話す口調がおだやかなになったので、初対面の方には優しい人・おだやかな人という印象をもたれることが多いですね」



大澤さん「もともと楽観的な性格なんですが、いつも幸せです。自分を支えてくれている人やモノや環境に感謝することができる。そう思わなきゃということではなく、自分の内側からあふれてくるんですね。みなさんにお分けしたいくらい。自分自身が平和である、ということが一番良かったですね」

お坊さんが瓦割り、DJトーク、意外すぎる特技

3次審査は自己アピールタイム。それぞれが特技を披露しました。

横山さんは10枚の瓦割りを披露。


見事、キレイに割れました。体育大学出身で、現在も空手道マスターズの関東大会に出場しているそうです。


長谷雄さんはラジオパーソナリティとしてトークを披露。流ちょうな英語を話しつつ、リスナーからのメール（相談）に答えていました。軽妙なトークではありますが、その内容はとても心に響くものでした。


大澤さんは座禅をレクチャー。身体の中心を探して背骨を伸ばします。鼻から空気を吸って、口から大きく吐く。その後、お客さんと一緒に瞑想タイム。


会場全体が静かになり、おだやかな空気に包まれました。

優勝はどのお坊さん？ 結果発表

ここでいよいよ結果発表です。


優勝者は大澤香有さん。票数はダントツの1位でした。

主催者の「株式会社 おぼうさんどっとこむ」代表、林数馬さんより表彰状と記念品が贈呈されました。　


優勝した大澤さんにコメントを頂きました。


「去年出場したお友達から、『とてもいい経験になるよ』とお誘いをいただきました。台風で5人中2人来られなかったので、天気まで味方にしてしまったのかもしれませんね」

主催者「株式会社 おぼうさんどっとこむ」代表の林さんにもお話をお伺いしました。どういった主旨でこのイベントを？


「テレビでもお坊さんが取り上げられている中で、新たな切り口はないかということで始めました。お坊さんの美しさというのは顔だけではなく、身なり、振る舞い、にじみ出る言葉などいろんな要素があります。お坊さんをもっと身近に感じてもらいたいですね。来年は少し内容を変えるかもしれませんが、イベントは継続していきたいと思っています」



普段の生活の中で、お坊さんに接する機会はなかなか無いですよね。お坊さんの本音が聞けて身近に感じると同時に、「心穏やかに生きていきたいな」と改めて感じさせるイベントでした。
（村中貴士／イベニア）