4月からの新生活で、慣れない一人暮らしに奮闘している新大学生、新社会人も多いことだろう。

一人になって初めて感じる、1日という時間の意外な長さや、親のありがたみ……期待や不安・寂しさの入り混じった気持ち。


そんな春特有の、大人への一歩を踏み出した心情をリアルに描いたCMがある。

「泣ける」と話題の『ほっともっと』CMに出てた男の子は誰?


『ほっともっと』新生活応援キャンペーンCM。ネット上では「泣ける」という声が多数ある。

CMに出演しているのは、泉澤祐希さん。

「泣ける」と話題の『ほっともっと』CMに出てた男の子は誰?


朝ドラ『マッサン』(14年)でシベリア抑留から帰還した悟、大河ドラマ『花燃ゆ』(15年)では吉田寅次郎に心酔する金子重輔、『表参道高校合唱部!』(15年)では合唱部部長を演じていた。まだ22歳ながら、キャリアは長く、『白夜行』(06年)で主人公(山田孝之)の幼少期を演じていた天才子役ぶりを覚えている人も多いことだろう。

泣きの演技が抜群に上手く、ふとした表情や佇まいだけで、観る者が切なさやノスタルジーを感じてしまう雰囲気を持っている役者さんである。

「泣ける」と話題の『ほっともっと』CMに出てた男の子は誰?


「泣ける」と話題の『ほっともっと』CMに出てた男の子は誰?


『ほっともっと』CMでは、電車での上京シーンと「『だけは』というのが、母の口ぐせだった」というモノローグから始まり、親への反抗、大きなスーツケース、教室、コンパ、不意の雨、窓の外を一人見ながら弁当を食べる様子、自転車で力強く進む様子が描き出される。

会話はなく、モノローグと表情の変化だけなのに、まるで1本の映画を観るように、物語が浮かび上がってくる。BGMで流れる大橋トリオの曲「アンジュリア」も泣かせる。

CMのコンセプトについて、「ほっともっと」の株式会社プレナス・広報担当者は言う。
「新生活で寂しさを痛感するのは食事のとき。
一方で、家族にとってのいちばんの心配事も食事です。『ほっともっと』のお弁当は、お店で炊いたあたたかいごはんと、バランスのよいおかずが特徴。それは、お腹を満たすだけでなく、新生活の寂しさもちょっとだけ拭ってくれる食事になれるはず。そして、心配する家族の思いにも応える食事になれると考えました。そこで、一人暮らしを始める子と母の、ちょっと不器用な、それでいて心温まるメールのやりとりを通して、『すべての新生活を応援する「ほっともっと」』を表現しました」

泉澤さんを起用した理由については、次のように話す。
「主人公は、建築の勉強をするために地方都市から上京してくる青年です。
寡黙でシャイなため、都会に馴染むには時間がかかりそうな性格。母に反抗し、何度も衝突したことはあったものの、母を思う優しさを持ち合わせている。新生活への希望と不安。その間で揺れ動く不安定な心を自然に演じることができる役者さん、ということで、泉澤さんにお願いしました。その素晴らしい演技に、現場で何度もため息が漏れました」
CMは連続テレビ小説『マッサン』での演技を見て以来気にかけていたという、監督からのオファーだったよう。

実は泉澤さん自身、実際に一人暮らしを始めたばかりで、この青年の役と一致していたため、丁度良いタイミングだったと言う。


「泣ける」と話題の『ほっともっと』CMに出てた男の子は誰?


撮影時の思いについては、泉澤さんはこう話してくれた。
「本当に一人暮らしを始めたばかりなので、不安とか期待とか、その気持ちを素直に出せたかと思います。母と一緒にいるシーンは、近くにいるとありがたみや感謝など、恥ずかしくて出せないんですけど、離れていると、料理や洗濯、掃除など、こんなに母はやってくれていたんだと気づいて、『いつも気遣ってくれてたんだ、ありがとう』という気持ちを持って演じていました。反抗期のシーンは髪型など遊びながら、『こうした方が田舎の不良っぽいんじゃないか』とか、試行錯誤しながら監督と作っていました。お弁当を食べるシーンは、都会の冷たさや1人の不安を、お弁当食べることによって、温かさが身に沁みてくるというか、心が安らぐというか、そういうイメージで演じました。具とご飯の取るバランスがすごく難しかったです(笑)」

残念ながら、テレビでのCMの放映は終了してしまったが、「ほっともっと」サイト上にはWEB限定の長尺バージョンもある。


新生活に少し疲れを感じている人、親や故郷を懐かしく思う人は、ぜひのぞいてみては? 数十秒にきっと泣かされるはずだ。
(田幸和歌子)