10月1日のメガネの日発売「メガネ専用日本酒」に反響! 蔵元に聞いてみた
写真提供 辻村酒店

10月1日は「都民の日」や「醤油の日」など、さまざまな記念日に制定されているが、「日本酒の日」と「メガネの日」でもある。
そんな日にあわせてメガネ専用の日本酒が発売された!

メガネ専用日本酒を造る萩野酒造って?


蔵人や杜氏が結果的に全員メガネ着用だったため、ちょっとした思いつきで商品化した日本酒が宮城県の萩野酒造の『萩の鶴 メガネ専用 特別純米生原酒』。筆者も偶然にもメガネをかけた日本酒好きで、この組み合せにグッとくる人って結構多いと思う。どういうコンセプトで商品が開発されたか気になったので、蔵元の方に聞いてみた。




メガネ専用日本酒を製造する萩野酒造は、1840年創業の宮城県栗原市にある酒蔵。お酒のコンセプトは「自分が飲んで本当に美味しいと思える酒」「お日様と田んぼの恵みを味わう酒」「気の合う仲間と楽しむ酒」「上質な普段着のような酒」で、生産量よりも品質にこだわったお酒を造っている。4年前の地震の際は古い蔵がダメージを受け、その後新築したそうだ。

酒造りに関わった専務取締役の佐藤曜平さんは、大学で醸造について学んだ経歴を持ち、現在は35歳。「メガネをかけた人がお酒を作っている写真が欲しい」とお願いしてみたが、蔵人は職人気質の方が多く、あまり写真を撮られたりするのが好きではないという。かろうじていただいた佐藤さんの写真は、こちらだ。
10月1日のメガネの日発売「メガネ専用日本酒」に反響! 蔵元に聞いてみた
確かに、めがねを付けてる!ホームページの写真にもめがねをかけた蔵人さんがチラホラ。


開発の経緯は?


さっそく開発の経緯を佐藤さんに聞いてみた。
「ある日、蔵人が全員メガネを付けていたことに気づき商品化しました。メガネ専用日本酒というコンセプトは完全に後付で、軽い思い付きで発売した商品ですが大きな反響をいただいております。米を蒸す際の大量の湯気や、蔵のある栗原市は真冬の外気温はマイナス10度にもなり、酒造りの要『米こうじ』を製造するための部屋は30~35度に設定されているため、寒暖差によるメガネのくもりに悩まされます」

ちなみに『メガネ専用 特別純米生原酒』は濁り酒なので「濁りがメガネのくもりを連想させる」というお客様もいたそうだが、これは全くの偶然だという。
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視力検査のマークも。このラベルも蔵の人がデザインしたとのこと。

名前だけ見ると、たしかに遊びで造ったお酒に思えてしまうが酒造りには本気で「機械を使ってボタン1つでお酒を造る大きな会社もありますが、私どもはそういったところに比べると小規模な蔵で、人の手をかけた日本酒を作っています。そもそも、自分の思い通りのお酒を造ろうとしたら大規模ではなかなかできないんですよ」と職人魂があふれるコメントも。

残念ながら売り切れ続出、飲食店にあるかも


今回の日本酒はメガネをかけている人だけでなく、日本酒にあまり興味の若い人にこそ飲んでもらいたいそう。

「生の原酒で加熱もしていないので出荷後も再発酵してしゅわしゅわするお酒です。メガネをかけたオタクくさい男たちが造りましたが、力強い味のお酒に仕上がっています(笑)。アルコール分はやや高めですがクセは無く料理を選ばないお酒で、特に弊社のある山あいの田舎料理、例えば漬物や芋の煮っ転がし、おばあちゃんの手料理といった素朴な料理に合います。魚よりは肉類の方が合うかもしれません」
10月1日のメガネの日発売「メガネ専用日本酒」に反響! 蔵元に聞いてみた
瓶には遊び心があるラベルが貼られている。飲食店の店員さんに「お客さんにすすめやすい」と好評だそうだ


残念ながら今年度の出荷は終わってしまい、取引のある酒店でも売り切れているところも多い模様。飲食店の入荷状況までは蔵元で把握できないものの、都内では新橋や麻布十番の酒店が飲食店に卸しているそうだ。来年は増産する予定はあるかと聞いてみると「反響が大きくても、品質を保つことができないので生産量をいきなり増やすことはできない」とどこまでも酒の品質にこだわった佐藤さんのコメントが印象的だった。
10月1日のメガネの日発売「メガネ専用日本酒」に反響! 蔵元に聞いてみた
萩野酒造の看板商品の一つ「日輪田」あくまでお酒はまじめに作っているとのこと。

(やったー麺)