次々に様々なエクササイズが生み出されるなか、この冬、アニメソングにあわせて踊る「アニソン・エクササイズ」が誕生した。

といっても、芸人のネタのようなウケ狙いではなく、いわゆる「オタ芸」でもない。

考案したのは、アメリカで活躍してきたダンサーのTAKAHIROさん。
マドンナの世界ツアーやPVに参加、07年にはニューズウィーク紙「世界が尊敬する日本人100人」に選出され、現在は大阪芸術大学客員准教授、TOPFIELD DANCE CENTER主宰者という、スゴイ人だ。

しかも、監修は順天堂大学の柳谷登志雄先生が務め、トレーニング効果を科学的に検証しているそう。
そんな人たちがなぜ、アニソンでエクササイズを? 一体どうしちゃったの?(←失礼!)

きっかけについて、TAKAHIROさんは語る。
「アメリカでのダンスの経験・知識を、いま日本で伝えたいと考えたとき、かっこいいダンスばかりだと、ダンスをやっている子は『おお!』と思ってくれても、他の人にはなかなか知ってもらえないですよね。でも、アニメなら、みんなが楽しいから、踊りも楽しんでもらえるのでは?と思ったんです」

ラインナップは、
「魔法使いサリー」(二の腕)
「魔法の天使クリィミーマミ」(肩・肩甲骨)
「Dr.スランプ アラレちゃん」(バストアップ)
「うる星やつら」(ウエスト)
「キン肉マン」(体幹)
「ドラゴンボール」(ヒップ・脚)
のアニメ主題歌6曲。

エクササイズ部位とレベルごとに選んで踊れるようになっている。
これらは実際に、TAKAHIROさんが大学に足を運び、運動心理学 運動生理学などを柳谷先生のもとで学びつつ、心拍数をつけ、運動率の高い動き等を調べて作ったそう。

選曲の基準はどんなものだったのだろうか。
「もともとアニメというか『アニソン』が好きで、なかでも今回自分がドンピシャでどうしても入れたかったのが、『魔法の天使クリィミーマミ』。あとは、自分も好きで、みんなも好きなものを選びました」

プロのダンサー×アニメという組み合わせは異色に思えるが、TAKAHIROさんは実家が秋葉原で、生粋のアキバっ子。
自然な流れでアニメにハマったと言う。

とはいえ、実はアニメを観ていたというよりは「聴いていた」そう。
「小さい頃はテレビをあまり見せてもらえず、テープを親にもらい、何万回も繰り返し聴いていたんです。その中で特に好きだったのが、アニメソングのテープで、『聖闘士星矢』とか『南の国のパームタウン』(※『新メイプルタウン物語 パームタウン編』の主題歌)とか、『光戦隊マスクマン』とか、悲しいこと・苦しいことがあったとき、いつも聴いていました」

実はアニメを「観る」ようになったのは大人になってからで、「あ、この曲ってこういうアニメだったんだ」と知り、現在は「アニソン→アニメ」に興味が移行中なのだそうだ。
「アニソンの魅力は、正直なところ。見たことそのまま歌うでしょう? 子供が目でみたことをそのまま語りかけるように、すぐ一緒に世界を共有できる。その曲を聴けば、その時代に入れるんです」

また、歌詞が写実的で、パントマイム的要素が多いことから、ダンスとのマッチングも良いと言う。

「ダンスがうまくなると、みんなかっこいい曲で踊るけど、うまくなっても、みんなの知ってる曲で踊っても良いと思うんです。かっこいいことばかりでなく、好きなこと・楽しいことでも良いと思う。アニメソングでおじいさんやおばあさん、子どももみんな一緒に楽しんでもらえると嬉しいです」

とびきりのテクニックを持つダンサーが、とびきりピュアな笑顔で、アニソンダンスを全力で踊る姿が印象的だった。
(田幸和歌子)