学校のテストの時間、消しゴムを忘れたことに気付いたときにはこの上ない絶望感に襲われたものだ。

そんなときに一筋の希望をもたらしてくれたのが、消しゴム付き鉛筆。
鉛筆の後ろに消しゴムが付いているこの一品は、普通の鉛筆より高級感があるために、普段は使わず、ここ一番の場面で使った人も少なくないはずである。

しかし、いざその鉛筆に付いている消しゴムを使ってみると、消えない。消えないどころかなんだか黒い汚れが広がった気にすらさせられる。それが例え、有名メーカーの高めの消しゴム付き鉛筆であっても同じである。鉛筆に付いている消しゴムは消えないのだろうか?

ある有名文具メーカーに問い合わせてみたところ、「そもそも私たちが普段使っている『消しゴム』は、今はプラスチック製のものになっており、ゴムではなくなっています。昔ながらの本物の消しゴムというのは、現在では鉛筆かシャープペンシルに付いているものしか生産されていないのが現状です」とのこと。
昔ながらの消しゴムは、元々あれぐらい消えにくいものなんだそうだ。ちなみに、今の消しゴムは正確には「字消し」というらしい。

では、鉛筆に付いている消しゴムはなぜ、今も昔ながらのゴム製なのだろうか? これについては、「今のプラスチック製の消しゴム(つまり字消し)は、ゴム製のものよりも柔らかくできています。そのため鉛筆やシャープペンシルのような小さい部品として使うとすぐになくなってしまったり、欠けてしまうことが多いのです。それを防ぐために、固くてすり減りにくい昔ながらの消しゴムを採用し続けています」とのこと。確かに、いつも使っている消しゴムは途中で千切れてしまったり、ヒビが入ることが多い。


この消しゴム付き鉛筆、元々、大工さんなどが外で作業するときに消しゴムを別で持ち歩くのが面倒だったりしたことから発明された商品なのだそう。「一本で書けて消せる」というのが画期的で、流行を引き起こしたのだが、「消せるボールペンが発明されたことなどもあり、少しずつその存在感が薄くなってきている感じは否めない」そうだ。大工さんも、今では図面をコンピュータで描くことも多く、鉛筆そのものの利用機会が減ってきているというのが現状である。

子供の頃、希望と絶望を同時に見せてくれた、あの消しゴム付き鉛筆がこの先、無くなっていくかもしれないと思うと少し寂しい気持ちもする。消しゴムを忘れて学校に行く小学生がいる限り、是非作り続けて欲しいものである。

(エクソシスト太郎)