ミリタリーものの服を着こなすって、よく考えると凄いですよね。戦場の空気を日常生活に持ち込んでいるわけだから。
でもそう考えると、ジーンズも元は作業着だった。アウトドアブランドをタウンユースに落としこむのだって、今や当たり前の時代なわけだし。

そして今、こんな衣服が話題となっているそうです。2011年に設立された「bon.」は、和尚たちが使用する作務衣や頭陀袋などを、普段使いに適したデザインにアレンジし直しているファッションブランド。

「若い僧侶から『法衣や小物でオシャレを楽しみたい!』という声を聞いたのが、設立のきっかけでした」(同ブランド・岩瀬代表)。企画・設計の段階から和尚様と職人が参加し、アイデアを出し合いながらアイテムは制作されている。
言わば、和尚様発のカジュアル。略して「オショカジ」と呼んでいただきたいのです!

では、既存の作務衣との違いをご説明いただきましょう。
「作務衣にはフードを付けるなどデザイン性は元より、縫製もカジュアル服の仕様にしました。上着だけでしたら、後ろ姿は通常のカジュアル服に見えます。またシルエットも、既存のゆったりめではなくタイトに。私どもの作務衣は、和尚様のメタボの防止にも役立っているとかいないとか……(笑)」(岩瀬代表)

そんな同ブランド、今年の1月を境に一般層からの反響が激増しているという。

「ホームページをリニューアルしたんです。『コンセプトの見直し』と『ターゲットをより絞ったこと』が、要因だと思われます」(岩瀬代表)

ほ~う、それは興味深い。では、どんなリニューアルがあったのか? まず、コンセプトについて。
「旧ホームページはあまりにも寺院寄りで一般受けしなかったため、法衣っぽいものは全て無くし、『オショカジ』と『Wear For Beter Japan 』という言葉を前面に出しました。写真も寺院風な背景はなるべく取り払い、あくまでカジュアルに統一しました」(岩瀬代表)

では、ターゲットについてはどんな刷新が?
「『和尚様全般』というぼんやりしたターゲットではなく、『カジュアルっぽいものが好きな和尚様』と『和尚様が着るカジュアルが好きな一般層』に。よりニッチにターゲットを絞り直しました」(岩瀬代表)
結果、それまでは5000にも満たなかったPV数は、リニューアルした途端いきなり2万超え! 新しい風が、間違いなく吹き荒れた。


では現在の同ブランド、ユーザー層はどんな感じなんでしょう?
「和尚様が80%、一般の方が20%という割合です」(岩瀬代表)。

戦略としては「和尚様→外国人→日本の一般消費者」と、段階を経てファン層を広げていけるよう、矢継ぎ早な展開が準備されている。
「すでに海外からの問い合わせがチラホラと寄せられており、大サイズの追加生産も行なっています」(岩瀬代表)

なるほど。新機軸の打ち出しは、明らかに功を奏したようだ。ただ、正直言うと意外だな。作務衣への興味や期待が、一般層の深層心理にあったとはとても思えないので……。

「身に着ける方は贅沢をしたいのではなく、日常に少しのワクワク感を求めているそうです」(岩瀬代表)

なるほどね! 確かに今までにない服を身に着けることにより、新たなワクワクが沸き上がるのはわかる。「和尚様からは、『オショカジを身に着けることにより、一般の方と触れ合うキッカケになる』と喜ばれています」(岩瀬代表)

では、同ブランドの人気商品を見ていこうか。
まず、和尚様部門の発表です。
・1位は「添水作務衣」(上下セット27,300円)
・2位は「デニム作務衣」(上下セット19,950円)
・3位は「格子柄‐頭陀袋」(16,800円)
というトップ3になっておりました。

続いて、一般ユーザー部門の発表! 
・1位は「添水作務衣」(上下セット27,300円)
・2位は「ボンチョ」(16,800円)
・3位は「デニム‐頭陀袋」(18,900円)
という結果となっております。

「これら個人からの反響だけではなく、実は制服としても認めていただいております」(岩瀬代表)
へぇ~! なんと「オショカジ」はヘッドスパ店、旅館、ホテル、カフェ、といった場で、制服としても活躍しているという。
……あぁ、アリかもしれない。想像すると、確かにハマっています。

最後に。念の為ですが、「オショカジ」は男性も女性も行けます。レディスをお求めの方は、Sサイズをご利用ください。
「特にボンチョは、女性からもご購入いただいています」(岩瀬代表)

今後、「オショカジ」を街で見かける機会は増えるのだろうか? 兎にも角にも、注目のファッションです。

(寺西ジャジューカ)