お酒の前に二日酔い予防として、ドリンク剤や錠剤を飲む人は多いもの。でも、先日、大酒飲みの人から、こんな気になる説を聞いた。


「ウコンは胃のぜん動運動を助けるからお酒を飲む前が良くて、ヘパリーゼは肝臓の働きを助けるから、お酒の後のほうが良い」

お酒の前と後でとるべき成分って違うものなの?
医療法人社団榎会・榎本クリニックの深間内(ふかまうち)文彦院長に聞いた。

「二日酔いの原因は1つではないので、効果的な対処法も人それぞれです。大切なのは、適量を守ること。暴飲暴食、睡眠不足、冷え、ストレスなどをなくし、日頃から肝臓の働きを高めておくことです」
「これだけとれば大丈夫」という決め手になる方法はないものの、応急処置として、飲酒前と飲酒中、飲酒後にお勧めの成分はあるそうだ。以下にまとめてみたい。

●飲酒前 
 ・ウコン……ウコン(特に秋ウコン)に含まれるクルクミンは、胆汁の分泌を促し、アルコールとアセトアルデヒドの分解を早めると言われている。
胃のぜん動運動も助けるため、飲酒前がオススメ。また、飲酒後は早めに飲むのが良いそう
 ・ヘパリーゼ……肝臓の機能を助けるので、飲酒の30分位前に飲むのがオススメ
 ・梅干……クエン酸が肝臓の働きを強化する。
 ・にんにく、かぼちゃ、レバー、お酢を使った料理なども有効
 ・タウリンのアミノ酸サプリ&ドリンク……イカやタコ、牡蛎、アサリなどに多く含まれるタウリンは、肝臓を守る働きがある
 ・柿……柿に含まれるカタラーゼはアルコールの分解を促進し、タンニンは胃粘膜保護作用やアルデヒドの代謝作用がある
 ・牛乳などの乳製品や豆乳……胃の粘膜を保護してくれると言われていたが、胃のぜん動運動を適度に保ち、乳脂肪がアルコールの吸収を遅らせることで肝臓に負担をかけにくいという理由が大きいそう
 ・胃腸薬……胃腸の弱い人は、必要な胃腸薬(胃粘膜保護剤)を事前に飲んでおくのも良い

●飲酒中
 ・枝豆、冷奴、納豆、ピーナッツなどの豆類や豚肉……ビタミン豊富。また、良質なタンパク質は酵素の働きを助け、肝臓の機能を強化する
 ・アサリ料理……タウリンを多く含む
 ・サンマの塩焼き&大根おろし……ビタミンC豊富

 つまみをとりつつ、弱いアルコールを時間をかけて飲むことが大切。また、脱水予防のため、できれば飲んだ量だけ水分補給(チェイサー)するのが望ましい。逆に、喫煙(ニコチン)はビタミンCを破壊し、内臓の働きを弱めるため、酒とタバコの組み合わせは二日酔いを悪化させるのでNGだそう。


●飲酒後
 ・果物……アルコールの代謝に必要とされるビタミンBやCを果物から補給するのは手軽。果汁100%ジュースはビタミン補給と水分補給になるのでお勧め。果物の糖分もアセトアルデヒドの分解を早める
 ・アミノ酸……アラニンやグルタミンなどのアミノ酸も、アセトアルデヒドの分解を早める
 ・蜂蜜……アルコールの分解を助ける
 ・ゴマ……ゴマに含まれるセサミンはアルコールの分解酵素に働きかけて無毒化を促進する
 ・コーヒーやお茶……カフェインが代謝を活発にし、利尿作用によるアルデヒドの体外排出促進作用などが期待できる反面、飲む量やタイミングが重要で、脱水時には避けた方が良い
 ・スポーツドリンク……水分の吸収を早め、脱水状態を改善するので翌朝にお勧め

「ちなみに、シジミに多く含まれるオルニチンは、肝臓の働きを助け、疲労回復に役立つので、シジミの味噌汁を日常の食生活の中で続けることは特にお勧めです。また、ウコンのクルクミンとシジミのオルニチンの組み合わせは、目覚めた時の気分や疲れやだるさが、ウコンだけを摂った時に比べて大幅に改善するので、あわせ技がオススメです」

この他に大切なのは、睡眠。睡眠をとることはアセトアルデヒド分解に良い効果があり、何より体を休めることは、疲れた内臓を回復させることにつながるそう。
お酒を飲む機会も多い時期。
ぜひご参考に。
(田幸和歌子)