シリコンバレー、言わずと知れた世界最先端のインターネット企業が密集するエリア。

Apple、Google、 Facebookといった世界を席巻するIT企業が本社を構えるこの地で、今、日本のお茶が大ブームなのをご存知だろうか?

筆者が実際に訪問したEvernote本社オフィスでも、冷蔵庫を開けると「Oi Ocha」が存在感たっぷりに目に入ってきた。
そう、日本でも人気の伊藤園のペットボトル緑茶飲料「お~いお茶」である。その横に並ぶのは同じく伊藤園の「TEAS' TEA」という米国向けシリーズ商品。Facebookオフィスの冷蔵庫でも発見。

世界中で何千万人、何億人に使われている今をときめくインターネットサービスが、日本のお茶を片手につくられていたというイイ意味でショッキングなこの状況。一体どういうことだろう?

実はこの普及、情熱的な営業マンの手によって、この約3年の間につくられたのだとか。……では、一体どうやって? 謎は深まるばかり。


シリコンバレーでその仕掛け人である伊藤園の角野賢一さんにお話を聞くことができた。
角野さんは、Manager Sales & Marketing Northern California として、サンフランシスコ及びシリコンバレー周辺エリアを担当している。

――「お~いお茶」や「TEAS' TEA」が今シリコンバレーで流行っていると聞いたのですが、どういった方々に飲まれているんですか?
「おかげさまで、今はEvernote、Google、Facebook、Yahoo!、Twitter、LinkedIn、Quora、Zynga、GREEといったシリコンバレーやサンフランシスコを代表するIT企業で働く社員のみなさまに多く飲んで頂いています」

――一体どうやってその販売ルートを開拓したのでしょうか? そもそも人気があったのですか?
「渡米した当初は、全くコネクションがありませんでしたので、会社名の頭文字をA-Zまで並べたリストをつくって、アポ無しで飛び込み営業をしたりしていました。これが、うまくいきませんでした(笑)」

なかなか思うように結果が出なくて悩んだ角野さんだが、「世界中から注目されるこの地で日本のお茶を流行らせたい!」という熱い想いと、流行に敏感なIT企業の中で流行れば大きな広告宣伝効果も見込めるはずという冷静な確信のもと、シリコンバレーで盛んに開催されている開発者や投資家達が集まる勉強会などに注目。

「今まで試飲などをやっていなかった、これらの場所でサンプリング活動を積極的に実施しました。はじめは、なぜこんな所で試飲などやっているのかという反応でしたが、お話をさせて頂くうちに商品とともに、“ITO EN KAKUNO”にご興味を持っていただけるようになったんです」

「実際に飲んでいただくと商品の良さが伝わり、ファンになってくれる方、導入してくださるオフィスが増えていきました」

それまでは栄養ドリンクを飲んでがんばるスタイルが一般的だったシリコンバレー。

人気の秘訣は何なのだろう?

「All Natural(自然抽出)、Unsweetened(無糖)、Low Calories(低カロリー)という商品の持つ健康的な側面、おいしさが受け入れられたんだと思います。商品の力を実感しました」

シリコンバレーの最新のインターネット技術やビジネス情報と合わせて、「お~いお茶」・「TEAS' TEA」の噂はジワジワ広がっていった。

こうした背景もあり、ITO EN(North America)INC.の北米での営業展開は大変好調だ。ぐいぐいと売上を伸ばし、2ケタ成長を続けている。

「インターネットの最先端の地で日本のお茶を流行らせたい!」という侍・角野さんの想いは確実に、着実に、現実に変わり始めている。
(exciteapps)