「同じアラブ文化圏、特にイスラム教の戒律が厳しい国から来た観光客は、トルコで少なからずカルチャーショックを受けるようです。まず疑問に思うことが、同じイスラムなのに女性はなぜスカーフをしないのかということ。ヨーロッパと同じように、街中でキスしているカップルもいます。それらには、大変驚かれますよ」
なぜトルコはこのような社会になったのか? 分岐点は1923年のトルコ革命。外務省ホームページによれば、初代大統領に就いたケマル・アタテュルクが、政教分離をおこなったことに由来するという。
「アルコールは法律で18歳から飲めます。
もちろん、文化的にはイスラムの慣習が残っているのも事実。街のいたる所にモスクはあり、時間になるとアザーン(礼拝の呼びかけ)が流れてくる。しかし、それら慣習も時代とともに変わりつつある。
「若い世代はモスクにあまり行きたがりません。行くとしても家族が行くから。
イスラム教の戒律が厳しい国の人たちから見れば、これらトルコの社会は、同じイスラム教国として信じがたいものかもしれない。しかし、古くから東西交易の要所として、様々な文物にふれてきたのがトルコという土地柄。時代とともに新たなスタイルを取り入れていくその姿こそ、トルコの魅力なのだ。
(加藤亨延)