夫婦の円満な旅立ちを演出する「離婚式」については、このコーナーでたびたび取り上げてきた。その影響もあってか!? テレビなどメディア露出も徐々に増えている様子。
それにつれ、世間的にネガティブな印象しかなかった“離婚”の二文字のとらえ方にも変化の兆しが見えているように思える。そんな離婚式の仕掛け人で日本最初の離婚式プロデューサー・寺井広樹氏が、今度は離婚式専用ドレスなるものを開発した。

離婚式では、新郎新婦に対抗して“旧郎旧婦”、仲人に対して“裂人(さこうど)”などと呼ぶ。また、式のクライマックスには夫婦の最初の共同作業であるケーキカットに対抗して、夫婦最後の共同作業として結婚指輪をハンマーでかち割るなど、結婚式のある種パロディ表現を用い、暗くなりがちな夫婦の別れを少しでも和やかな気持ちで迎えてもらおうとの趣向が仕組まれている。

そんな中で、離婚式を申し込んだ夫婦や式の参列者からはどんな服を着ていけばいいのかとの問い合わせが寺井氏の元に多く寄せられていた。「晴れ着姿の方もいれば、“結婚のお葬式”と捉えて喪服の方もいたり、それこそまちまちでした」という。
そこで、これまでに80組近い離婚式をプロデュースしてきた寺井氏がイメージする離婚式にふさわしい衣装を用意すべきだと考えたのだった。

衣装のデザインは、テレビ番組「ASAYAN」などで注目を集めたファッションデザイナー・ご・あきうえ氏に依頼。離婚式は“素”の世界であるとの寺井氏の意向を織り込み、花言葉が「夫婦円満」である菊科のユリオプスデージーをモチーフにした離婚式ドレスを完成させた。

ドレスは開放的なアメリカ文化が花開いた1950~60年代のレトロ感をにじませ、素朴なイメージを表現。スカート丈は短く設定、これには「夫婦仲をいつまでも引きずらない」との意味が込められている。また、離婚式を挙げる夫婦は30~40歳代が多いことから、腕が露出してしまうことを気にする女性が多いことを考慮して、マーガレットと呼ばれる肩から腕を覆うレース状の羽織りものを用意した。
さらに離婚式は別れが重要なテーマであることから背中のデザインにもこだわったという。

デザインしたご・あきうえ氏は「離婚式はたまたまテレビで見て、ものすごく共感を覚えました。いずれはバリエーションを増やして離婚式ドレスのファッションショーが開ければ」と語った。

寺井氏はこの離婚式ドレスを7月以降、離婚式用にレンタルするとしている。料金は「いい夫婦」の語呂合わせで11220円。「離婚式を申し込まれる8割は男性です。
この衣装を通して女性にも興味を持っていただければ」と期待を寄せている。

ちなみに、男性用の衣装は今回特に設定していないが、やはり“素”をイメージして上着無しで並んでもらうことをイメージしているという。
(足立謙二/studio woofoo)