3月11日金曜日午後2時46分頃、マグニチュード9.0という世界観測史上最大級の地震が東北地方太平洋沖で発生し、14日正午現在、警視庁の報告では東北と関東の12都県警が検視などで確認した死者数は1647人。家族や知人から申告のあった行方不明者は1720人。
重軽傷者は16都道県で計1990人に上りました(産経新聞より)。

テレビやラジオをつけると続々と想像を絶するような被害状況が各地から報道されていますが、今回の震災ではそれよりも大分早くFacebookやTwitterというソーシャルメディアからある程度正確かつ必要な情報を得られることを実感された方も少なくないのではないでしょうか。

140文字のミニブログと言われて久しいTwitter(ツイッター)では、関心のあるキーワードに#(ハッシュタグ)をつけることで検索しやすくする機能がありますが、地震発生後、“prayforjapan”(日本のために祈ろう)というハッシュタグが生まれ、地震発生直後から現在まで、1分間に100件近いメッセージが英語、フランス語、スペイン語、韓国語、アラビア語など様々な言語で途切れることなく寄せられ、同時に写真アプリInstagram(インスタグラム)を通じて”日本のために祈る”画像が数多く投稿されています。

自動車免許合宿先の栃木県那須にいた慶応義塾大学SFC2年生でWebデザイナーでもある鶴田浩之さん(20歳)は、停電と断水で何も情報が入ってこない中、“なんとかイーモバイルでインターネットに接続し”、震災の惨状と世界中の支援の声を知りました。そして被災した少しでも多くの方達にこのメッセージを伝えたいと『prayforjapan.jp』というサイトを立ち上げ、1秒に1ツイートという勢いでつぶやかれる世界中の応援の声をまとめて掲載するページを公開しました。

すると『prayforjapan.jp』がオープンした3月12日午前6時から、取材させていただいた14日午後3時までのわずか56時間の間に、このサイトに励まされ、ひとりでも多くの人に広めようとつぶやかれたツイートの数は5765個にも上りました。
同時に震災関連の心打たれる日本語つぶやきの中から、鶴田さんが特に感動したツイートをピックアップして掲載した『心に残るつぶやき』ページを同サイト内に12日午後6時頃にアップしたところ、なんと2日で300万を越えるアクセスと、同ページのURL付きツイートが計測不能になる10万回以上もつぶやかれるという、鶴田さんも驚くほどの反響となりました。

「様々な言語で日本を応援するメッセージが1秒に1ツイート以上の勢いで、おそらくTwitterの存在する世界中の国々から続々と投稿され続けているということに、電気の不安定な合宿所で夜中毛布にくるまりながら鳥肌が立つ思いで眺めました。この場所で何ができるだろうか? と考えたときに、少しでも被災した方達を励まし、被災地域以外の方には関心と共感を持っていただけることができないかと、このサイトを立ち上げました」と鶴田さん。

『prayforjapan.jp』と同時に立ち上げたFacebook内の同名ページにはすでに2万以上のLike(いいね!)マークが付けられていますが、日本語のわからない被災者のため、また日本の団結力と思いやりを少しでも多くの人たちに伝えたいという思いから、多くの方たちから翻訳ボランティアの申し出が相次ぎ、鶴田さんもどのメールやツイートから手を付けたらいいのかわからないほどだとか。結果Facebookページ内に中国語、韓国語、英語の掲示板を作成し、翻訳者が自ら掲示板に投稿できるようにしたとのこと。他にも一部イタリア語やポルトガル語での翻訳も掲載されているようですが、他言語も含めて今後のボランティアの集まり次第でより多くの言語での翻訳を進めていきたいと鶴田さんは考えていらっしゃるようです。


「現在は首都大学東京3年生の西尾健太郎さんと僕のふたりが中心となってサイトの構築などに当たっています。今後のサイト拡充を考慮してサイトを作り直しているところで、ゆくゆくは最大10人くらいを配置して、さまざまなツイートが投稿された2~3時間以内には各国語への翻訳をアップしていくことができるように体制を整えたいと思っています。Facebookのページは震災直撃後2日目頃から多くの方たちがつぶやきの他にも画像やイラスト、歌などさまざまな形で被災者応援のメッセージを投稿し、自らページを育て始めてくれていて、すでに僕の手を離れて勝手に回り始めている感じです。『心に残るつぶやき』も、最初は僕が数あるつぶやきの中から印象的なものを選んでいましたが、今はサイトの存在が知られるようになったことで多くの投稿が集まってくるので、僕はその中から心に残るつぶやきを選ぶ作業をしています。
今後『prayforjapan.jp』のウェブサイト、Twitterアカウント、Facebookページなどが元になり、震災によって励ましが必要な人たちのための何かプラットフォームを作ることができたらと考えているので、多くの人達が僕の手法に賛同し輪が広がっていくことにむしろ感謝しています」とのこと。

私自身は4年半前からグアム在住で、海外在住歴ももうすぐ10年になろうとしているのですが、特に最近は海外に住んでいると日本自身から発信される日本のネガティブな面ばかりが目につき、不安になることが多々ありました。
でも偶然にも先週の月曜日から帰国していたために東日本大震災を神奈川県で経験することになり、図らずも日本人のすばらしい団結力と思いやりを実感する場面に数多く遭遇し、日本人として生まれてきたことを心から誇りに思えるようになりました。

また鶴田さんら20歳前後の若者たちが、ソーシャルメディアを通じて世界中に広がる思いやりと優しさの渦のひとつを、すさまじい勢いで作り上げているという事実に、感動と新しい時代の到来を感じずにはいられません。

東日本大震災のような大きな災害では、たとえ甚大な被害を被った地域から遠く離れていても、心を痛め、精神的にダメージを受けられる方が多くいらっしゃると聞きます。また鶴田さんもおっしゃるように、被災から1ヶ月近くが経って状況が少し落ち着いてきたとはいっても、家族や住居を失って途方に暮れたままどうしていいのかわからない被災者の方も多くいらっしゃることでしょう。そのような方たちのために、自分にできることを少しずつでも形にしようという人たちがこんなにもいるということを、私も少しでも多くの方たちに伝えたいと思いました。

世界中が日本を応援してくれています。

がんばろう、日本!
(鶴賀奈穂乃)