先日、高速道路沿いに変わった標識を見つけた。白地に「AH1 ASIAN HIGHWAY」の黒字。
通常、高速道路の標識は緑色だし、英語のみの標識は日本では珍しい。この謎の標識の正体は何だろうか?

まず“Asian Highway”、つまり「アジアハイウェイ」とは、アジアにおける国境を超えた国際的な道路網のこと。いわば現代の「シルクロード」、または学校の地理の授業で習った「パンアメリカン・ハイウェイ」やヨーロッパの国際高速道路網のアジア版だ。

そして「AH1」は「アジアハイウェイ1号線」のこと。AH1は日本を起点として、韓国、北朝鮮、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、バングラデシュ、パキスタン、アフガニスタン、イランを経て、トルコ(とブルガリアの国境)が終点で、更に欧州自動車道路へ接続する。つまり14カ国を経由し、総延長は約2万kmだ。


では、AH1の日本国内区間(1,108km)を構成している高速道路等をみていこう。
AH1の起点は日本全国の道路の基準たる「日本国道路元標」がある東京の日本橋。
そして起点の日本橋から、首都高速の都心環状線と3号渋谷線、東名高速、名神高速、中国道、山陽道、関門橋、九州道、福岡高速の4号線と1号線を経由して、博多港と韓国・釜山港間のフェリーへ連絡だ。

この「AH1」の標識は、起点の首都高速(日本橋)にはもちろん、構成する各路線にも設置されていて、全国18カ所にある(アジアハイウェイ標識の設置場所/国交省)。
実は日本は2003年にはアジアハイウェイへ参加していたが、日本国内での標識設置は今年の6月になってから。最近になってから見かけるようになったのは、このためだ。


実際にそのまま走って行けるわけではないものの、インドやトルコ、そしてヨーロッパにまで続く道が身近にあるのは、感慨深いものだ。
(もがみ)