大人になってから読んでも感動する本、大人になってからのほうが感動する本、あるいは大人になって読むと違う感想が出てくる本というのは、たくさんあるもの。
その1つとして、先日コネタ「後ろからギュッ」でも取り上げた伝説的少女マンガ『キャンディ・キャンディ』について考えてみたい。


きっかけは、上記の記事でコメントしてくれた編集者に、大真面目な顔で聞かれた、こんな質問だ。
「大人になってから、『キャンディ・キャンディ』を読んだことありますか?」
現在こみいった事情により、絶版のこのマンガ、我が家では姉の所有物だったため、自分は大人になってからネットのオークションで入手し・読み返している。
入手困難なことも一因となってか、いまだに根強いファンが多いのだが、ネット上では大人になってからの感想や、作品の「その後」についての予想・個人的な小説などが多数見られる特異な作品でもある。

では、大人になって読む『キャンディ・キャンディ』の意外性とは……。

まず驚くのが、キャンディの人生があまりに不幸続きであること! そして、「アンソニー」があまりに初期にあっけなく死んでしまい、出番がものすごく短いこと。

男性キャラにはほぼ全員に好かれているキャンディだが、同性からの嫌われ方もまた、異様なほどである。
ワガママお嬢様・イライザや、お金持ち学院の生徒たちに嫌われるのは仕方ないとして、看護学校の仲間などにもことごとく嫌われている。なぜだ!?
だが、大人になってみると、休み時間のたびに、他の女友達と話すこともなく、好きな男(テリィ)のいる場所へまっすぐとんでいく素直さ・無邪気さ(恋愛体質)は、同性にとっては鼻につくかもしれないなぁ……などと思えたり。

また、仲間たち(女子含む)全員に飛行機をひっぱらせ、自分は一人「オイッチニ! オイッチニ!」と掛け声だけで参加するお調子者具合も、同性はやや引くかもしれない。

一方、子どもの頃は、最低最悪な印象だった恋敵・スザナ(テリィをかばい、大怪我を負った後、結婚を迫る)が、大人になってみると「本当は悪い女じゃない」と思えるようになったという人は多いよう。
「スザナだったら、愛するテリィが不幸になるのを喜ぶわけがない。後に自立して解放するはず」という予想・願いは、実際、ネット上に数多存在している。


さらに、個人的な驚きは、子どもの頃には「絶対に嫌!」だったアルバートさんが、大人になってみると、それほど抵抗なくなっていること。
それはおそらく「モジャモジャヒゲ+黒メガネ+長髪」という外見的怪しさ、「大おじさま(実際は若いが)」と呼ばれる立場などが、子どもにとっては大いに異物感だったのだろうが、いま見るとちゃんと若い人に見える。

一方、誰もがテリィに夢中になるなか、自分は「一歩ひいて一緒に笑い合える、二枚目半メガネのステアが良い」などと思っていたが、案外、現在いちばんモテそうなのは、このステアの気もする。

大人になって読むと、新たな発見があったり、自分の成長(?)を感じたり、さらに号泣してしまう『キャンディ・キャンディ』。大人こそ読んでほしいです。
(田幸和歌子)