小学校で必ずと言っていいほど持つことになるリコーダー(縦笛)。
多くの人が、人生で一度は演奏したことがあるんじゃないだろうか。


でも大人になってリコーダーを演奏することや、演奏してる人を見ることって少ない。
もちろんリコーダー奏者として活躍している人もいるけれど、小学校で音楽を勉強するための楽器っていうイメージの方が強い。
考えてみたら、不思議な存在だ。

数ある楽器の中から、小学校ではどうしてリコーダーが選ばれてるんだろうか。

文部科学省に伺うと「使う楽器を決めているのは各学校なので、それぞれ理由があるかと思いますが……」という前置きのもと、こんな話をしてくれた。

「学習指導要領の中では、3~4年生でリコーダーを演奏することを推奨していまして、これは子どもの発達段階を考えてのものです。
低学年で習ったカスタネットやタンバリンなどのリズムをとる楽器の次の段階として、指の使い方や呼吸の仕方、旋律を学ぶことにふさわしい楽器のひとつが、リコーダーなのだと思います。比較的上達しやすい楽器なので、達成感も得やすいでしょうしね」

それとともに、リコーダーには小学校で扱いやすい長所があるという。
「リコーダーは持ち運びをしやすいこと、丈夫なこと、安いことなどが利点としてあるかと思います。口をつけて演奏する楽器なので、どうしても1人ひとつ持つわけですから、個人で持ちやすい方がいいですよね」

リコーダーが日本に伝わったのは、1936年のベルリンオリンピックがきっかけとされる。集団での演奏に感銘をうけて「リコーダーは教育にもってこいだ!」と思った坂本さんという人が、日本に持ち帰ったという。
教材として浸透していったのは、日本が落ち着いてきた戦後から。
誰でも演奏できることや、小学生が雑に扱っても壊れないこと、プラスチックで安く作れることなどが、良かったみたいだ。

ちなみにリコーダーはもともと「小鳥に歌を教えるための道具」だったと言われている。12世紀ごろのヨーロッパには、捕まえた小鳥たちを集めて、美しいさえずりで人々を楽しませる芸人が人気だったという。そんな彼らが、小鳥たちに上手く歌うよう教えてた道具がリコーダーだったんだとか。当時は「record=さえずり」って意味があって、リコーダーと呼ばれるようになったそうだ。
子どもたちが習うよりずっと昔に、小鳥の勉強で使われてたなんて、メルヘンな話だ。


最後ちょっと横道にそれたけど、リコーダーには、小学校で扱うのにふさわしい良さがあったんです。
(イチカワ)