昔住んでいた家の近くに、露天風呂がウリの銭湯があった。そこには確かに「露天風呂」があるのだが、周りは高い壁に囲まれていて、見上げると四角く切り取られた空、というなんとも言えないものだった。
もちろんいくらかガッカリもしたのだが、なぜか「露天」だというだけで高揚感があるもので、足繁く通った。

ビルに囲まれた状況ですらテンションが上がる露天風呂。その露天風呂が家のちょっとしたスペースに設置できるとしたらどうだろうか?
そんな身の程知らずな夢を簡単にかなえてくれる商品が『組み立て式 露天風呂キット』だ。発売以来、多数のメディアに取り上げられてきたので、ご存知の方も多いかもしれない。

この度、私の知人がこの露天風呂キットを、こともあろうにアパートのベランダに設置したと聞き、急いで訪ねてきた。

知人の住むアパートには風呂がない。
共同で使用するシャワーが別棟にあるのだけど、一度建物の外へ出なくてはならず、おまけに有料。清潔好きにはちょっと厳しいそんな弱点がある反面、ベランダは4畳半もあって広大。この条件を前にした知人は『露天風呂キット』のことをパッと思い出したという。素晴らしく柔軟な頭だ。
「ベランダに露天風呂置いてもいいですか?」と大家さんに交渉し、OKをもらって入居を決めたとのこと。

早速そのベランダを見せてもらうと、思った以上にコンパクトなサイズの「露天風呂」があった。
すぐに組み立て・解体が可能なシンプル構造で、手入れが簡単そうだ。ヒノキの香りが心地よい。入浴手順を教えてもらうと、まず、お風呂の隣に置かれた洗濯機用のホースから湯船に水を注ぎ、そこにハンディタイプの温熱器を投入。そのまま1~2時間待つといい湯加減。この入浴前のロングタイムが最大の弱点か……。

ちなみに、『露天風呂キット』は、「湯船」に、薪を焚いて湯を沸かすための「風呂釜」が付属したものが通常セットになっているが、湯船単体での購入も可能なので、さすがにベランダで火を使うわけにはいかない知人はそちらをチョイスしたとのこと。


入り心地をたずねてみると、「すごくいいっすね。お風呂上がりもこの椅子に座って」と、近くにあったアウトドア用のチェアを指さし、「しばらく夜風に当たるのが最高なんですよー」と言う。
「これから寒い季節、どんどん露天風呂が楽しくなりますよー」なんて、わーうらやましい。

アパートのベランダを極上空間に変えてしまうこの素晴らしきアイテム『露天風呂キット』。購入した方々はどんな使い方をしているのだろうか。販売元のアウベルクラフト株式会社・柴田さんに伺うと、
「自宅の庭やウッドデッキに置いて露天風呂を楽しむ方もいれば、キャンプ場や海辺に持っていって、アウトドアのお供にされる方もいます。
新築の屋上にわざわざこれを置くスペースを設計に入れて設置したという方までいらっしゃいますよ。みなさま本当にいろんな使い方をされているので、それをお聞きするのがとても楽しみです」
とのこと。
想像しただけで幸せそう……。高級高層マンションのベランダで夜景を見ながら露天風呂を楽しむ人もいるそうだ。知人の風呂なしアパートと比べると……いや、やめよう。

また、2004年の発売以来、『露天風呂キット』がロングセラーを続けている背景についてお聞きすると、
「日本人は本当にお風呂が好きで、中でも露天風呂は特に好きですね。
私ももちろん大好きです! 簡単に置くことができる個人用の露天風呂があったらいいな、という潜在的なニーズをきっとみなさんお持ちだと思います。組み立ても簡単ですし、みなさんが様々なシーンで使えることをイメージとして膨らませてくださっているのだと思います」
とおっしゃっていた。
まさに、みんなの夢を形にした商品!

「ウチの庭、だいぶ余ってるから丁度いいかも」、という方はもちろん、広いベランダと理解ある大家さんを合わせ持つ素敵な賃貸物件にお住まいの方もぜひぜひチェックを!
(スズキナオ)