この冬、2年連続3回目の食中毒にかかった。
高熱や下痢に苦しんだ過去の教訓を活かせず、肛門が三たびご乱心。
ハッキリした原因はわかってないけど、どうやら3回とも、飲食店で食べた半生の鶏肉や卵が怪しいとのことだった。

ただ、その店で食中毒が集団発生したわけじゃない。それに一緒に行った人の中にも、同じものを同じくらい食べた人がいる。なのに僕だけ発症……。半生の鶏肉を食べたのがいけないのはわかってる、わかってるけども、僕だけ発症したのがよくわからない。一体どうしてなんだろう。


食中毒にかかりやすい人と、そうじゃない人の違いを医師に伺った。
「当たり前ではありますが、かかりやすい人は他の病気と同様、睡眠不足やストレスなどで、一時的に免疫が落ちていることが考えられます。また、免疫の弱いお子さんやお年寄りも注意が必要です。あとはその人の体質や、その日の体調、腸の状態など、多くの要因が絡んでいるため、具体的なことはわからない場合が多いんですね」
そっか、一概には言えないのか……。

「例えば一緒にいた人と同じものを食べていたとしても、食べた部分などによって菌の量にはバラつきがあります。食中毒の原因特定は難しく、体質の違いなどもあるので、結局は、食事に気をつけることが一番大切としか言えないんですね」

ただ、こんなことも教えてくれた。

「腸内環境が良くない場合とともに、食中毒の種類によっては胃酸が薄まった状態のとき、発症しやすいと言われています。胃酸が薄まるというのは、例えば飲み物を多く飲んだときなどです。胃酸が薄まっていると殺菌力が弱まるため、胃酸で殺菌されるはずの食中毒の菌が、いつもより多く腸に達してしまうんですね。飲み物を飲まないことがいいわけではないですが、菌によってはそれが食中毒に関係しているようです」

胃酸について極端な例を挙げると、胃を切除した人は、食中毒にかかりやすいとされる。胃酸がなければ、食中毒の菌はラクラクと腸に達しちゃうからだ。
ただ、胃酸が正常でもすべての菌を殺せるわけじゃないから、菌の数が少なくても発症する食中毒(カンピロバクターなど)では、胃酸の濃さはそれほど関係ないんだとか。
それに胃酸をくぐり抜ける種類の菌もいる。

じゃあ食中毒にかかりやすい人はどうすりゃいいんだよ! って思うけど、どんなに警察の取り締まりが厳しくても犯罪が起こるように、どんなに胃腸を強くしたって、どんなに規則正しい生活を送ったって、かかりにくくなるとは限らない。

食中毒の原因は人それぞれ、菌それぞれ。当たり前の結論でイヤだけど、医師の言ってた「菌を身体に入れないこと」が、食中毒にかかりやすい人がかかりにくくなるための、最大の対策のようです。
(イチカワ)