手軽で栄養豊富な、“世界の朝食”ケロッグのシリアル。

現在も豊富な種類がスーパーなどの棚をにぎわせているが、その中のひとつ、リング形のチョコ味で、チョコが溶け出した牛乳がまたうまい、「チョコワ」。

そして、「チョコワのパッケージにはゾウ」と、セットで覚えていた。

ケロッグ社のシリアルには、たとえば「コーンフロスティ」には“トニー・ザ・タイガー”、「コーンフレーク」には、ニワトリの“コーニー”など、昔からイメージキャラクター制度があったことは、ご存知の方も多いはずで、「チョコワ」といえば、“メルビン”という、ゾウのキャラクターで長年親しまれてきた。

しかし、いま棚に並ぶ「チョコワ」を見ると、「ココくんのチョコワ」という商品になっている。

「ココくんの」って……、ココくん!? ココくんといったら、「ココくんのチョコクリスピー」っていう、同じくチョコ味で人気者の、あのひと(サル)でしょ。こっちも美味いけど。
気付いてみれば、「ココくんの」なんていう冠をつけて、クリスピー担当のサルが、「チョコワ」界にも進出してきているのである。

1キャラ1商品制ではなかったのか。
じゃあ、ゾウはどこにいったかといえば、パッケージの下のほうに、いた。あと、上ぶた。でも、あくまでメインのココくんを支えるサブ的なポジションで、サイズも控えめだ。当初は『宇宙猿人ゴリ』だった番組名が、『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』になり、最終的には『スペクトルマン』に変わってしまったようなものか、たとえが古すぎてアレだが。

この状況について、日本ケロッグ株式会社広報室の井出さんに、たずねてみた。


「一番の理由は、『シリーズ』としての統一化をはかるという点です」
このチョコクリスピー/チョコワは、おもに骨と歯の形成に大切なカルシウムと鉄、それにビタミンDなどを多く含んだ栄養機能食品。
それを、バラバラの2商品として販売するよりは、「カルシウム摂取したい」→「それならチョコ味」→「チョコ味といえば、ココくんのパッケージを」といったイメージで買ってもらうほうが、消費者の印象に残りやすいというわけだ。
「同じくビタミンBなどを多く含む『コーンフロスティ』と『フロスティクランチ』も、『フロスティシリーズ』として、展開しています」

「チョコワ」の発売開始は1976年。ココくんが登場したのは04年からなのだそうだが、実は「チョコクリスピー」のキャラクターも、「チョコくん」というサルキャラから、現在の「ココくん」にチェンジしていて、これも同じ04年のこと。

ケロッグのキャラクター展開した過去の商品には、「ハニーポン」のミツバチ“ハニーちゃん”、「シュガーポン」でピストルを構えていたリス、チョコ味の「コンボ」のゴリラなど、商品展開の終了とともに姿を消した、愛すべきキャラクターが他にもたくさんいる。

「チョコワ」は、商品自体がずっと現役なわけで、現在は、メルビンがプレイングマネージャー的な立場になったのか、商品名はココくんに譲ったものの、キャラクターとしてはタッグ展開が続く。

パッケージにメルビンくんが残るのは、長年愛されてきた彼への敬意みたいなものなのかもしれない。
(太田サトル)