先日、お札の記事を書いた際に、ビジュアル用にお札の撮影をしながら、「これって偽造になったりして?」とちょっぴり不安になった。

お札をカラーコピーすることや、パソコンで複製するのは罪というのは、よく知られたこと。

「無期または3年以上の懲役」などとも聞く重罪だ。
でも、たとえば一部だけをコピーしたり、拡大したり、縮小しても罪になるもの?
財務省の通貨企画調整室に聞いた。

「お札をコピーしたものを使用した際には、『偽造』という罪になりますが、コピーなどした時点で、『通貨及証券模造取締法』に触れるんですよ」と担当者は言う。
要は、「通貨と紛らわしい外観にすること」がダメということで、その「紛らわしさ」は、大きさや色などを総合的に判断しているのだそうだ。

では、大きさは、何パーセントまでの拡大・縮小が法に触れるなど、決まっているもの?
「特に数字では決まっていません。紛らわしいかどうかは、最終的には警察や裁判所で取り締まり、決めることとなります」

ところで、雑誌やパンフレット・リーフレットなどで見るお札の写真には「見本」と記されているが、手書きであっても「見本」と入れればOKということなのだろうか。

「本当の意味では、『見本』と入れると問題ないかどうかは、特に規則があるわけではありません。第三者にそれがお金として通用するかどうかが目安となります」

この「紛らわしさ」という観点からいくと、500円玉などのコインをコピーしても、まったく問題ないということになる?
「おそらくコインを紙にコピーしても、重さなどが違うので、紛らわしくはないと思います。この場合、『見本』などと書かなくても特に問題はないと思いますが、使われ方にもよりますね」

また、仮にコピーしたものが、第三者に渡り、悪用された場合には、最初にコピーした人に遡及して法を適用することもあるのだそうだ。
「模造品が出てしまうと、日本の国民がお札に寄せる信用が落ちることになります。『本物に似ているから』『似ていないから』ではなく、どこでどう使われるかわからないことですし、コピーなどは控えていただければと思います」

法に触れるかどうかは、明確な規定がない「お札・コインのコピー」。
とはいえ、不必要なコピーは当然ながら、やめましょう。

(田幸和歌子)