
この変換を、最近やっと覚えたのも束の間、新たな問題が生まれた。
この前、女性用ジーンズのサイズを見たとき、おやっ? と思った。インチ表記とともに書かれてるセンチメートル表記がなんかおかしい。
『29インチ ウエスト63cm』
あれっ、計算が合わない。29×2.54=73.66だから、29インチって73〜74センチのはず。男性用ジーンズの29インチは、計算した通り73センチって書いてあるのに……。
でもそのジーンズが間違ってるわけじゃなく、女性用ジーンズはどれも似たようなサイズ設定。他のインチ数でも、男性用より約10センチ小さい。
どうしてこんな混乱する表記になってるんだろう? 日本ジーンズ協議会に話を伺った。
「男女のジーンズのインチ数は、ヒップの大きさで統一されているため、ウエストに差が出ています。例えば女性はウエスト63センチでも、ヒップが大きいことから本来(男性用)の25インチ(ウエスト63センチ、ヒップ81センチ)は入りません。そのため29インチ(ウエスト73センチ、ヒップ91センチ)を選ぶことになります。
もともとジーンズは男性用しかなかった。それから女性用が作られるようになったことで、こうした違いが生まれたようだ。
そして、日本ジーンズ協議会が官庁へ届出した自主規格表に、次のような男女差を裏付けるデータがある。
『ヒップの大きさを同一とした場合、男性と女性ではウエストの寸法は大きく異なっており、例えば標準体型(ヒップ寸法91cm)では男性の方が約10cm大きい』
『ヒップとウエストの差のことを専門用語でドロップ差といい、男性で18cm、女性で28cmの人が統計上最も多いとされている』
ちなみにジーンズのサイズ表示は、1981年に日本ジーンズメーカー協議会が定めた自主規格によるもの。他の衣料と同じく、メートル法によるJIS規格に合わせて「cm」を表記するよう定められた。
このとき、「インチ」は本来JIS規格に合わないものの、長い間インチで表示されてきたため、自分のサイズをインチで覚えている消費者が多いこと、先ほどの男女差で説明したような体型別のサイズ分類を簡単にできることから、今でも「号数」としての扱いで、インチ表示が併記されている。
男女の体型差が生んでいた、インチとcmの混乱。
でもインチ数にとらわれず、各ブランドのセンチメートル表記を見れば混乱することはない。そもそも「cm」表記自体、消費者の利便性を考えて行われてる。
他にもジーンズのタイプによってサイズはまちまちなので、どれも「cm」を見て選んでください。試着できないネットで買う方は、特に。
(イチカワ)