かつて日本を覆っていた韓流ブーム。火付け役となったのは、2004年に流行した『冬のソナタ』であり、以降はドラマ・映画・音楽など、さまざまなコンテンツが流入。
一時期は、どのチャンネルでも頻繁に韓国関連の話題・情報を扱っていたものです。
そうした、過剰とも取れるメディアの喧伝は疑惑を生み、いつしか論争を巻き起こすことになりました。

そんな韓流ブームが起こる直前。2人の韓国人タレントが日本の芸能界でデビューを飾りました。歌手のBOAと女優のユンソナです。

深キョンとの共演でブレイク


ユンソナはもともと韓国のテレビ局『韓国放送公社KBS』の専属女優でしたが、2000年に来日を果たします。翌年1月には早速、当時人気絶頂だった窪塚洋介が主演する連続ドラマ『もう一度キス』(NHK)で、ヒロイン役に抜擢。


続いて同年7月には、フジテレビ系の連ドラ『Fighting Girl』で、深田恭子とW主演をつとめました。
この作品においてユンソナは、深キョン演じる男勝りで奔放なフリーター女子と対局の性格に位置する、真面目な韓国人留学生役を好演。ドラマの平均視聴率は13.2%と、決して芳しい結果ではなかったものの、突如現れた韓国人美系女優として注目が集まり、彼女の存在は一躍全国区となったのです。

高視聴率ドラマ『GOOD LUCK!!』にも出演


その後、2001年に文化庁芸術祭参加作品の『至上の恋~愛は海を越えて~』(NHK)、2002年10月に『ナイトホスピタル~病気は眠らない~』(日本テレビ系)、そして2003年1月には平均視聴率30.6%のキムタク作品『GOOD LUCK!!』(TBS系)へ出演し、着々と連ドラ常連女優としてのポジションを築いていきます。

女優業が安定してきてからは、バラエティにも進出し、アドリブの効いた受け答えも見せていました。ナイナイ岡村からの求愛を激しく拒絶してみたり、明石家さんまからの怒涛のイジリを受けて「オマー(お母さん)!」とあえて韓国語で泣いてみたりと、こなれた対応をしていたものです。

反日疑惑をかけられたユンソナ


他にも、2002年日韓W杯の中継リポーター(日本テレビ系)や『ハングル講座』(NHK教育)の講師に登用されるなど、順風満帆だったユンソナの芸能活動。

しかし、2006年11月に韓国人実業家と結婚してからは、日本での活動を徐々に減らしていきます。
当時彼女は30歳。女性として今後の幸せを考えるのであれば、夫がいる母国へ戻るほうが賢明なのは明らかでした。

そして結婚の翌年、日本とはちょっとした禍根を残すこととなります。きっかけは、韓国ドラマ『恋人よ』の製作発表会でユンソナが述べた以下の発言。

「歪曲された日本歴史教育に悩み苦しんだ」
「私達は教科書で日帝時代や (慰安婦だった) お婆さんたちの胸が痛む話を皆聞いて育ったが、私と同じ年齢の日本の友達はよく分からない人が多い」


これが「反日的」だと捉えられ、ネット上で批判されたのです。ユンソナ本人に反日感情は毛頭なかったといいます。

にも関わらず、バッシングされたことに傷ついたユンソナは「日本で活動する芸能人たちの間では特に『親日ではなければ反日』という決めつけがひどいような気がする。それが非常に残念だ」とコメント。

その時は「応援してくれる人がいる限り、日本での活動は続ける」とし、それからしばらくは日本で活動を続けました。しかし、2012年にはレギュラー出演していた『住人十色』を降板し、韓国への帰国を発表したのでした。

最近は息子の“いじめ騒動”で話題に


現在は、韓国で夫と2人の子どもと共に暮らしているユンソナ。2016年5月には、自身が立ち上げたコスメブランドを日本の通販番組QVCでPRして、大ヒットさせています。
夫からノウハウを吸収したのか、いつの間にか敏腕実業家としても活動していたのです。

かと思えば、最近では悪質ないじめに関与した小学生の息子を擁護したと韓国内でバッシングされるなど、いまだにこの人、話題に事欠かないようです。
(こじへい)

※文中の画像はamazonよりユンソナ 2006年度 カレンダー