90年代の傑作ホラーアニメ、『学園七不思議』をご存知だろうか?

正式タイトルは『ハイスクールミステリー学園七不思議』。91年4月から翌92年3月に渡って、フジテレビで毎週金曜午後4時から30分枠で放送された異色アニメである。


夕方4時からのホラーアニメがまさかの大人気に!?


当時、宜保愛子や尼僧の前田和慧(わけい)ら霊能者と呼ばれる人物の特番が数多く組まれるなど、フジテレビはオカルトに力を入れていた印象。その流れから、アニメでもオカルトを扱ったのだろうか?

しかも、夕方4時からの時間帯で関連玩具や映像ソフトのCMもなし。かなりのチャレンジであったが、これがまさかの大反響! 何より怖い! 怖すぎる! すでに大学生の筆者的にも怖かった!
ストーリーやキャラクター、音楽まで一貫してクオリティが高く、30分があっという間に感じるほど。反響の大きさから、放送終了間もなく同じ時間帯に再放送されたほどだ。

今年の9月27日には、四半世紀を超えてブルーレイボックス化されるとか。未だに根強い人気に支えられている作品なのである。

ひと目でわかる! つのだじろうテイストのヒロイン


主人公「一条みずき」のクラスメートがいじめを苦に校舎屋上から飛び降り自殺をしてしまう。
この生徒が霊の姿となりイジメ首謀者を追い込むのが第1話だが、この時、霊の存在に誰よりも早く気付いたみずきは、これを機に霊媒体質が目覚めてしまう。


そして、次々と怪奇な霊現象に遭遇することになる……。

原作は恐怖漫画の第一人者、つのだじろう。
『うしろの百太郎』『恐怖新聞』の大ヒット以降は心霊研究家としても活躍。70年代オカルトブームを牽引した立役者である。

そのため、みずきを始め主要キャラは、あの独特の菱形つり目に八の字まゆのつのだじろうテイスト全開。萌え絵とは無縁の世界観、普通にブサイクな友達がレギュラーなのも、この時代っぽくてたまらない。


死者やけが人が続出! 呪われた学園が舞台


みずきたちが通う私立「黄泉(こうせん)学園」は、過去に自殺者や事故死者が多数出ており、その亡霊たちがトラブルを起こすのが物語の基本となる。

霊は一様にアグレッシヴであり、殺傷能力も高め。なので、物語上の1年間で生徒や教師の死者、重傷者、行方不明者が相当数に上っており、七不思議どころか、何十もの不思議が発見できてしまうミステリースポットと化している。

霊現象とは無関係の自殺者も多いようだが、世間的には騒ぎになっていない模様。理事長はよっぽどの実力者なのだろうか?これこそ、七不思議である。

原作では主人公が死んでしまう


基本的には1話完結物だが、バッドエンド成分多め。
悪霊を除霊して一件落着かと思いきや、実は別の人に乗り移っていたり……、成仏したから安心かと思いきや、あっさり復活していたり……と、モヤモヤした結末が多かった。

それでも、原作漫画よりはだいぶ不幸が薄まっているよう。
原作漫画は1巻ごとに主人公が存在する全4巻形式。(ただし、第1巻は主人公がエピソードごとに異なる)
アニメ版の主人公を務めたみずきは、第2巻の主人公だ。原作の方が死亡率は高め。何しろ、みずきもトラックに轢かれて死んでしまうのだから……。

対して、アニメ版のみずきはかなりの強キャラ設定。
悪い霊に攻撃されたり、憑依されたり、何度も何度も霊による超体験をしてるのに基本無傷。
おまけに、空中1回転してライダーキックを決めるなど身体能力は高いのである。

最後まで油断できない恐怖の演出とは?


恐怖演出は、最後まで抜かりなし。
毎週、主人公が予告ナレーションをするのだが、「次回、学園七不思議、『〇〇〇』でお会いしま‥」の辺りで「ガガーン!」と何かのショック音、間髪入れずに主人公の「キャー!!」の絶叫。後半には、ナレーションの締めに「ニギャ~~ォッ」とドスの効いた声で低くうなる猫のバージョンもあった。初見殺しのナイス演出だ。

エンディングもひたすら不気味。

ネガを反転させたようなシルエットの背景(しかも微妙に歪んでいる)に被さる、『サスペリア』『エクソシスト』を彷彿とさせる、切なくも恐怖をあおるBGM。時折入る吹き荒れる風の効果音も絶妙である。

ブルーレイボックス化を機に、実写ドラマ化もありうるか!?
その際は、筆者が常々「つのだじろうが描く女性顔」と確信している剛力彩芽に主人公を演じてもらいたいのである。

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