今、『キン肉マン』がアツい! 厳密にはここ数年、ずっとアツい!

80年代に大ブームを巻き起こした、誰もが知っている名作漫画『キン肉マン』。その正統続編がウェブ連載中なのだが、今が全盛期とさえ言えるほどのアツすぎる展開。
お世辞抜きですべての漫画の頂点に立つほどの面白さなのだ。

始まったばかりの新シリーズにはオメガマン(厳密には双子の兄)が登場し、ソルジャーの登場も作者が予告。他にも「キン肉星王位争奪編」のキャラクターが大挙登場しそうな予感がプンプン。期待は高まるばかりである。
そんな今だからこそ見返したいのが、アニメ版の『キン肉マン キン肉星王位争奪編』。

アニメ直撃世代であっても、意外と見落としていた方が多いのがこの第2期シリーズ。
原作の終了から4年、アニメ第1期終了から5年を経ての再アニメ化では、熱がすっかり冷め切ってしまうのもやむなしといったところか……。

「キン肉星王位争奪編」は期待されていなかった?


そもそも、アニメ『キン肉マン』第1期は、アニメが原作に追いついてしまう形で放送が一時中断。それに伴い、時間帯が日曜朝10時から火曜夜7時に移行したばかりか、日本テレビ系ゆえにプロ野球巨人戦中継重視のあおりを受け、末期は放送中止が頻発していた。
オリジナルストーリー「ザ・サイコー超人の挑戦編」と「地獄の極悪超人編」は人気も出ずにグッズ売上も低迷。結局、打ち切りとなってしまっていた。

そんな経緯があった上での、長いブランクを経ての再アニメ化である。91年秋から1年間に渡って放送されているわけだが、正直期待は低かった。

日本テレビのプロデューサーは、同時期にジャンプでの復活連載を希望したと言う。しかし、ジャンプ編集部の判断はノー。当時は完全に終わった作品としての位置付けだったのだ。

ひとり3役、4役は当たり前! 声優の使い回しはキン肉マンならでは!?


新しいファン層獲得を狙ったのか、キン肉マンとミートくんを除き声優陣を一新。
当初は違和感しかなかったロビンマスクの野太い声や、ブロッケンJr.の若さ皆無のオッサン声も、いざ変わってしまうと寂しいものがあった。

ロビンマスクとアシュラマン、ブロッケンと与作さん、悪魔将軍と委員長(ハラボテ・マッスル)、ネプチューンマンとキン肉大王(キン肉真弓)など、第1期ではあまりにキャラがかけ離れた役柄を同一人物が演じることが多かったのだが、第2期では幾分控えめになった印象。
と言っても、ブロッケン&ウォーズマン&キン肉マンゼブラ&キン骨マンまでもが同一人物など、相変わらず各人の仕事量はハンパないのだが。


しかし、『北斗の拳』次回予告のハイテンションなナレーションでおなじみの千葉繁が、アデランスの中野さんを演じたまでは良かったが、重要なシリアスキャラであるキン肉マンソルジャー(キン肉アタル)まで演じてしまうのは、どうにかならなかったのだろうか?

最悪のオリジナルキャラクター、コニタくんとは?


アニメ第1期では、キン骨マン一味や五分刈りの旦那など、原作序盤のチョイ役たちが引き伸ばしのためのコメディパートで必要以上に主張し、ファンをヤキモキさせていた。(もっとも、ギャグ路線はゆでたまご先生の要望ではあったのだが)

原作がとっくに終了し、引き伸ばしの必要がない第2期では不要なギャグは控えめになるかと思いきや、コニタくんなるキャラが出しゃばる形で、新たなイライラを増幅させるハメに。
当時のプロレス界は、“邪道”大仁田厚のデスマッチ路線が話題となっていた時期。「ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ」の衝撃が一般メディアにまで到達し、知名度が急上昇していた大仁田をモチーフにしたことは、その見た目やネーミングから明らかだった。

しかし、名古屋弁とインチキ英語風のイントネーションで実況や解説をしたり、ミキサー大帝やマンモスマンにちょっかいを出したりと、そのキャラクターはウザさのみを煮詰めたような有様。何の必要性も感じないキャラクターであった。

プロレス技をアップデート! しかし、疑問も多数……


テリーマンのテキサス・クローバーホールドがSTFに、ブロッケンJrのブレーメン・サンセット(かんぬきスープレックス)がフランケンシュタイナーになるなど、当時の先端のプロレス技への変更にニヤリとしたプロレスファンも多かったはず。


しかし、ジェロニモの必殺技「アパッチのおたけび」が「野生のおたけび」に変更したのは、どんな事情があったのだろうか?
アシュラマンvsサタンクロス戦がざっくりダイジェスト(マンモスマンvsレオパルドン戦に匹敵する短さ)で片付けられてしまった事情、なぜかエンディングを歌うのがケント・デリカットだった事情も気になるところである。

このアニメ第2期では超人閻魔がラスボス設定。運命の5王子を操る邪悪の神々を従える黒幕となっていたが、先日大団円を迎えた原作の「完璧超人始祖編」のラスボスがザ・マン(ストロング・ザ・武道)=超人閻魔の設定は、ここからヒントを得たのだろうか?

あらためて見返すと、残虐性を引き出す能力を持つパルテノン、かつて超人界を壊滅状態に追い込んだ「カピラリア七光線」を発射できるプリズマン辺りの設定は、新シリーズでも生かせそうだが……。

ちなみに、このアニメ第2期の真ソルジャーチームには、ブルドーザーマンがおらず、代わりにヘビー・メタル風の超人がもうひとり参加している。今さら気付いて、ひとり興奮している筆者。35年来の熱狂的キン肉マンファンである。

「長かったレビューよ さらば!!」

※文中の画像はamazonよりキン肉マン コンプリートBOX (完全予約限定生産) [DVD]