福田明日香の衝撃的だったモー娘。脱退 メンバーと関わらなかった理由とは?
福田明日香は左から2番目(※Amazonより)

2017年6月30日。テレビ東京のバラエティ『じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告』に元モーニング娘。
の福田明日香が登場し、およそ18年ぶりとなるテレビ出演を果たしました。

「脱退の真実を激白!」などと、ネットニュースで事前に煽られていたこの放送回。「学業優先のため」とされていた脱退理由が、果たしてどんなスキャンダラスな暴露話によって覆されるのか……。筆者含めて、期待していた人も多かったことでしょう。

驚くような新情報はなかった……


ところがふたを開けてみると、彼女の口から語られたのは「ふつうの学生生活を送れなくなることが不安だった」という、いたって予想通りなもの。他にも、モー娘。時代のエピソードをいろいろと話していましたが、そこまで驚くような新事実はありませんでした。


とはいえ、福田の当時の心境といえば、これまで、脱退直後に発表された自叙伝『もうひとりの明日香』の中でしか知り得なかった情報。それを直接本人がテレビの電波を通じて語ったというだけで、価値があると言えるのではないでしょうか。

思えば、彼女が14歳のときに下した「モーニング娘。脱退」という決断は、今まさにグループが社会現象化せんとする沸点直前の出来事だったこともあり、ことさら鮮烈な印象を世間に与えたものです。

10歳のときに家出を経験している福田明日香


モー娘。時代の福田明日香は、実に早熟で不器用な少女でした。

先述の自叙伝『もうひとりの明日香』。
この本はいうまでもなく、等身大の福田明日香(14歳)を知るうえで重要な参考資料なわけですが、その中で彼女は10歳ときの家出経験を告白しています。
家出といっても、そこまで大それたものではありません。仲の良い友人3人と、一晩隣町をうろつく程度のものだったといいます。

単なる青春の衝動か、はたまた、大人へのささやかな反抗か……。この「家出エピソード」一つとっても、上手に生きられない少女の実像が垣間見られるというものです。

他のメンバーと積極的に関わらなかったモー娘。時代


そんな福田が、モー娘。誕生のきっかけとなる『シャ乱Q女性ロックボーカリストオーディション』へ応募したのは、「ロック」という響きに感化されたからだといいます。
既成概念を打ち崩し、自分らしさを追及する「ロック」の概念は、なんとも魅力的に映ったに違いありません。

かくして、同オーディションの落選者5人で結成されたモー娘。の中にあって福田は、つんく♂の「グループなんだから仲の良さが大切」という教えに反して、積極的にメンバーと関わらなかったそうです。

理由は「音楽を一緒にやる仲なんだから、普段の会話で盛り上がらなくってもいいじゃん」というものでした。

「オリコン1位が、全ての一番じゃない」とクールに発言


仲良し組織に所属したいのではなく、あくまで音楽をやりたいからここにいる……。そんな福田の姿勢を、特によく示した出来事があります。

それは、サードシングル『抱いてHOLD ON ME!』が、念願のオリコン1位を獲得したときのこと。他のメンバーが涙を流しながら輪になって抱き合う中、その円陣から少し離れたところで、福田は冷静にこう言い放ったのです。

「オリコン1位が、全ての一番じゃない」

当時、福田が最年少ながらも歌唱力抜群で、安倍なつみと共にツインセンターをつとめていたこともあり、“エースの飽くなき向上心”的に捉えられたこのコメント。
けれどもその奥底には、大人たちから言われるがままにアイドル活動へ従事する仲間、そして、気づけば「ロック」とはほど遠いところに立っていた自分への懐疑心があったのではないでしょうか。


一昨年には結婚、去年には出産を経験


結局、当たり前を嫌うかつての家出少女が、当たり前の日常を求めて、モー娘。からの離脱を表明し、芸能界から引退するとは何とも皮肉な話。
その後、高校を1年で中退してアルバイト生活を始めたかと思えば、また高校へ通い直し、社会へ出てからはバーテンをはじめて、20代半ばに音楽活動を再開……。
日常の中の非日常を求め続けた彼女も、いまや32歳。結婚もしていて、子供もいるといいます。

『じっくり聞いタロウ』のラストで、福田が歌唱したモー娘。
のセカンドシングル『サマーナイトタウン』の「大人ぶった下手な笑顔じゃ 心かくせない」という歌詞が、妙に在りし日の彼女の姿と重なり、なんだか感傷的な気分になったのは筆者だけではないでしょう。
(こじへい)

※文中の画像はamazonよりモーニングコーヒー