大麻栽培で逮捕の高樹沙耶、女性へのわいせつ行為で逮捕された高畑裕太……。大物タレントであればあるほど、一度社会的不祥事を起こすと、日本中で大きな話題となり、その後のタレント生命を断たれてしまうこともある。

元SMAPの草なぎ剛もいっとき、そんな崖っぷちに立たされた一人だ。

全裸でわめく酔っ払い、駆けつけてみたら草なぎ剛!


2009年4月某日のこと。深夜3時ごろのこと、都内某所の公園の夜間立ち入り禁止区域で「バカヤロー」「ナンだぁ」と意味不明の叫び声を上げる泥酔男がいた。しかもその男は、なんと全裸。
そこで近隣住民が110番通報。まもなく警察官が駆けつけ男を公然わいせつの容疑で逮捕した。

これだけなら、よくある酔っぱらいのご乱行であるが、警察官はビックリ仰天。
なんと逮捕した相手は、国民的アイドルであるSMAP(当時)のメンバーの一人、草なぎ剛(当時34)だったのだ。

草なぎ剛のご乱行


その前夜、草なぎは赤坂の和食店で知人と食事し、ビールや焼酎などを飲んでいたという。その後、別の飲食店に移動し、事件のあった2時ごろにいったん自宅に向かった。しかし、自宅近くまできたものの、そのまま公園へ直行。
草なぎは全裸のまま公園の木によじ登ったり、でんぐり返しをするなどかなりのご乱行ぶりだったもよう。なお、日頃の律義さが出たのか、着ていた服は、きちんと畳まれていたそうだ。

泣きながら「シンゴー」と絶叫した草なぎ剛


警察官が駆けつけ、「服を着ろ」と命じたが、草なぎは「裸だったら何が悪い」と反発。仕方なく、ビニールの保護シートをかけられて連行されてしまった。
その際、なぜか泣きながら「シンゴー、シンゴー」とわめいていたという。
逮捕後、われに返った草なぎは取り調べに際し、全裸になったことは覚えていないと供述したそうだ。

なお、所轄署は自宅マンションを家宅捜査。だが薬物反応はもちろん、その他、法にふれるものは何も発見されなかった。
草なぎは翌日には無事釈放され、記者会見を開いた。会見の場では大いなる反省の様子を見せ、涙ながらに「本当に申し訳ない気持ちでいっぱい、すぐに芸能活動に戻りたい」と謝罪の意とあらわした。
同時に芸能活動への意欲もアピールしつつ、「でも反省しないといけませんし」と真摯な態度で反省の気持ちを付け加えた。

「警察の対応は過剰だったのでは」の声も


当然のことながら、その後の芸能界その他における反応は大きかった。
所属するジャニーズ事務所は、草なぎの当面の芸能活動休止を発表。もちろん、出演中だったCMも放送中止となった。
おりしも当時は地デジスタート直前の時期。草なぎは地デジ推進のメーンキャラクターも務めていた。担当大臣である鳩山邦夫総務大臣(当時)は「強い怒りを感じる」と発言し、物議をかもしたこともあった。


一方、マスコミと一般市民は総じて同情的だった。医師からは「明らかに自分をコントロールできていない異常酩酊」との見解が示されるとともに、所轄署に対して「尿検査で薬物反応が出ていないのに家宅捜索は行きすぎ」という意見が出た。
また、「一歩間違えば、不当捜査、不当勾留と逆に裁判起こされてもおかしくない」といった主旨の、警察の対応を過剰反応と指摘する意見も飛び出した。一方で、自ら過熱報道を自省するマスコミ関係者もあったという。

「大岡裁き」だったスポンサー


CMが打ち切りになったため、ジャニーズ事務所側は当然、多額の違約金の請求も視野に入れていた。しかし、なんとスポンサーからは「違約金は特段考えておりません」という回答。

スポンサーからは、(草なぎ起用後の)10年の間にイメージが定着し、商品を育ててもらった感がある。そう目くじらをたてることもない…との考えが示された。違約金はもちろん、その他のペナルティも課せられなかったのだ。

謹慎期間中に大いなる反省の時間を過ごした草なぎ、事件から約1カ月経った5月に収録があった「SMAP×SMAP」(フジ系)への出演を機に芸能活動を再開した。
また、飲酒のほうは事件後、キッパリと辞めていたが、こちらは番組中にタモリと乾杯して5年ぶりに解禁。大きな話題を呼んだ。

(せんじゅかける)