篠原涼子、華原朋美、安室奈美恵、globeのKEIKO……。90年代中ごろから後半、彼女たちは小室ファミリーの歌姫として、日本の音楽シーンを席巻していました。
時代の流行歌となったのはご存知の通りです。

上記に挙げた歌姫達は、小室に見出されるまでほぼ無名の存在。煌くような才能を次々発掘したその手腕たるや、見事という他ありませんが、TKブームは1997年の安室奈美恵の名曲「CAN YOU CELEBRATE?」を最後に終息へと向かいます。それ以降、鈴木あみがプチブレイクしたものの、プロデュースするアーティストはいずれも、以前のような勢いはなし。現に翌1998年から年間シングルランキングTOP30に、小室作品がランクインしなくなります。

そんなTKブームの過渡期に現れた歌手の一人に、未来玲可(みくれいか)という少女がいました。


TKブームの過渡期にデビューした悲劇の歌姫


未来玲可(みくれいか)は1983年12月12日生まれで、現在は32歳になっているはずです。彼女がデビューしたのは1998年11月。14歳の時に、シングル「海とあなたの物語」をリリースしての、メディア初登場でした。
この曲は、それまでの小室曲とは明らかに違う仕上がりになっています。まず、全体的にキーが低い。加えて、どちらかといえば歌い手側の歌唱力・表現力の高さを前提に書かれることが多かった過去のTK楽曲と異なり、未来の少女らしさ・あどけなさをフューチャーしています。彼女ののびやかな歌声と共に響くオリエンタル調のメロディも、小室製ソングらしからぬ素朴な味わい。


ちなみにこの「海とあなたの物語」は、当時、田村正和と松たか子主演のフジテレビ系の月9ドラマ『じんべえ』の主題歌に採用されたことでも話題に。セールス的にも30万枚と、まずまずのヒットを飛ばします。

デビュー4ヶ月でまさかの引退


未来は、1999年1月にセカンドシングルを発売する予定でしたが急遽中止となります。それだけでなく、3月にデビューアルバムをリリースした後、なんと引退を発表。あまりに急過ぎる決断の理由は何なのか……。
明確には公表されていませんが、有力な説として挙げられているのが「自分の歌唱力に自信をなくしたから」というものです。

Mステでの歌唱失敗が引退の原因!?


これは、彼女がデビューして間もなく『ミュージックステーション』で生歌を披露した時のこと。
あまりの緊張から声が震えるわ、上ずるわで、大変残念なクオリティになってしまったという事件に由来します。この一件にひどくショックを受けて、フェードアウトしてしまったと言われていますが、真相は果たして……。
いずれにしても、TKブームの終わり際に、ほんの一瞬、輝きを放った歌姫がいたことを、私たちは決して忘れないでしょう。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりTM NETWORK 30TH ANNIVERSARRY SPECIAL ISSUE 小室哲哉ぴあ TK編 (ぴあMOOK)