現在、日本中、いや世界中を席巻しているポケモンGO。各地でトレーナーと化したアプリユーザーの歩きスマホ、私有地への立ち入りなど、社会現象ゆえの迷惑行為が多発しているようです。

中でもニュースで、あるいは個人のSNSで話題になっているのが、レアポケモンが出現するスポットへの人の集中。人の土地へ侵入したり、通行の妨げになったりしない限り、問題行動ではありません。とはいえ、たくさんの人が立錐の余地もないほど一箇所へ集まっているのに、じっとスマホとにらめっこしている様子は奇妙な印象も受けます。

しかし、このレアポケモンのような、物珍しいものに惹かれるのは人間の性。歴史を紐解くと、仮想空間ではない現実世界でも人は希少生物、さらには伝承でしか知らない「未確認生命体」の捕獲を試みてきました。
ツチノコ、人面犬、ビッグフッド、イエティ、ネッシー……。
いつの時代も人は、ポケモンGOで「ミュウツーが出現した!」というデマ情報に踊らされるかのように、信憑性も定かではない生物の噂に夢を見てきました。
そんな未確認生物の中でも特に異彩を放ったのが、90年代に突如存在が唱えられ始めた「スカイフィッシュ」です。

1994年、アメリカで発見された空飛ぶ筒状の物体


最初に存在が明らかになったのは、1994年3月。第一発見者はアメリカ・ニューメキシコ州の映像コーディネーター、ホセ・エスカミーラという人物です。
ある時、彼は自分の撮影した映像をビデオデッキで再生していました。その際、奇妙なノイズが確認されます。「一体、何だろう?」。
不思議に思い、巻き戻してスローで再生。するとそこには、驚くべきものが映し出されていました。羽、もしくはヒレのようなものをはためかせながら、空中を直進する筒状の物体です。
再生速度を落としても、画面に現れたと思ったらすぐ見切れることから、かなりのスピードで移動していると推測されます。驚くエスカミーラ氏。「もしかしたら……」と思い、様々な場面を同様にスローで再生すると、いくつものこの正体不明の何かが映りこんでいたのです。


アノマロカリスが進化したもの? 正体については諸説あったスカイフィッシュ


後に「スカイフィッシュ」と呼ばれるようになったそれは、最初の発見以来、世界中から目撃情報が集まるようになり、徐々にその特徴が推定されていきました。体長は数センチ~2メートル、最大で20~30メートル。飛行速度は、時速80kmから300km。未確認生物らしい、何ともばらつきのあるデータではないでしょうか。
また、正体に関しては様々な説が唱えられ、古代生物・アノマロカリスが進化したものだとか、政府の秘密実験で生み出された改造生物だとか、はたまた、生命体がプラズマ化したものだとか……。それこそ、スカイフィッシュのごとく、諸説飛び交っていました。

『アンビリバボー』でも特集。
粘着テープ付きの棒で捕獲を試みるも…


当然、こんな面白いもの、日本のテレビ界が放っておくはずなく、様々なドキュメンタリー系のエンタテイメント番組で特集を組まれていました。特に力を入れていたのは、フジテレビの『奇跡体験!アンビリバボー』。
同番組では、スカイフィッシュがたくさんでるとされるメキシコの巨大洞窟までわざわざ赴き、粘着テープ付きの長い棒を振り回したりして、捕獲を試みていました。しかし、成果は挙げられず仕舞い。

結局、2000年に入り、複数の番組で、ビデオカメラの特性により対象物が引き伸ばされて映る「モーションブラー現象」が原因だと存在が否定されて以降、ほとんどテレビで見聞きしなくなったスカイフィッシュ。たとえ、嘘だとしても、またこうしたロマンを感じさせてくれる未確認生物が、現れて欲しいものです。

(こじへい)

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