芸能界には、いつの時代も「魔性の女」と呼ばれる女優がいます。今ですと、ドラマの共演者と度々噂になる、石原さとみや蒼井優が代表格でしょうか。
あるいは、脚本家の野島伸司から、ハンカチ王子こと斎藤祐樹、果ては、くりぃむしちゅーの有田まで、幅広いジャンルの男性と浮き名を流す、雑食系女子、深田恭子も外せないところです。 

90年代を代表する魔性の女、鈴木保奈美


鈴木保奈美は間違いなく、こうした「魔性」の系譜に連なる女優です。1966年生まれで、今年、御年50歳。現在は主婦業の合間に雑誌のインタビューやドラマの助演をこなすという、悠々自適なタレント生活を送っているこの石橋貴明婦人ですが、90年代前半においては、時代を代表するテレビドラマのヒロインでした。
中でも、彼女の人気を不動のものにしたのが、フジテレビ系の連続ドラマ『東京ラブストーリー』です。保奈美演じる赤名リカの、自由奔放でストレートに感情を表現するキャラクターは、たちまち同世代女子の憧れの的に。彼女が劇中でしていた髪型やメンズライクなファッションはこぞって真似され、織田裕二演じる永尾完治を呼ぶ「カン~チ!」の一言は、流行語にもなりました。


『東京ラブストーリー』のプロデューサー・大多亮氏と不倫関係に


この『東京ラブストーリー』のプロデューサーを務めていたのが、現在フジテレビの常務取締役を務める大多亮氏です。彼は俳優個人との付き合いを通して、マンツーマン指導をするタイプの作り手。そのレクチャーを施している最中に、一線を越えてしまったのでしょうか。『東京ラブストーリー』の前後、大多Pと保奈美は恋愛関係にありました。大多は既婚者であったため、いわばこれは不貞行為。今だと「ゲスプロデューサー」として、世間から断罪されていることでしょう。
当時は双方交際を否定していましたが、後年大多は、自著『ヒットマン―テレビで夢を売る男』の中で「保奈美をいとおしく思えた」と記しています。
この記述からも、彼が保奈美へ仕事仲間以上の感情を抱いていたことは明らか。しかし、多くの不倫関係がそうであるように、妻子を捨てられない男の煮えきらなさによって、この恋もやがて終わりを迎えます。

ドラマで共演した江口洋介とも交際


そこに絶妙なタイミングで到来したのが、江口洋介との新たな恋愛です。『東京ラブストーリー』『愛という名のもとに』という、どちらも大多プロデュースのドラマで共演した2人。『愛という名のもとに』では江口が保奈美に想いを寄せたものの、結局友人関係のままという結末でしたが、現実世界では恋が成就した恰好になりました。
今では、大多Pとの不倫を隠ぺいする偽装工作との向きもあるこの交際ですが、当時のマスコミはしっかりと現場証拠を押さえています。ある週刊誌が「“噂の二人”保奈美と江口 タヒチ帰りを独占直撃!」という見出しと共に、空港らしき場所で保奈美の手を引く江口の写真を掲載したのです。
カメラの前を堂々と横切る2人は満面の笑みを浮かべており、幸せそのものといった雰囲気でした。

F1解説者の川井一仁と結婚も、3年あまりで破局


しかし大多Pへの未練を振り切れなかったのか、はたまた、彼女の中の魔性が一所に留まることを許さなかったのか。この恋も早々に終わりを迎え、矢継ぎ早に次なる恋へと向かうこととなります。その相手は、またしてもドラマ関係者かと思いきや、予想の斜め上をいくF1解説者の川井一仁でした。1994年にF1モナコGPのTV中継にゲスト出演した際に知り合い、交際に発展。さらにその年のうちに、結婚までしてしまいます。

けれどもこれも長続きせずに、僅か3年余りで結婚生活は破たん。そこから1年後の1998年に現・夫である石橋貴明とのできちゃった婚を発表するのです。

現在では、かつてのような奔放さはすっかり鳴りを潜めた鈴木保奈美。3児の母となった今、恋愛へ向けていた多大なエネルギーを、子どもたちへの愛情に変換しているのだとしたら、何とも頼もしい限りです。

(こじへい)

※イメージ画像はamazonより東京ラブストーリー DVD BOX