「すべてを失っていいと思って人を好きになるって、すごいやん。あんたらできるのか? そんな恋したことあるのか?」

もう、引退して4年半。
芸能界、もっと言えば発言できる場が、よほど恋しかったのでしょうか。上記は、昨今の「ベッキー騒動」について、島田紳助が述べた持論の一部抜粋です。交友のある芸能リポーター・井上公造氏へ、長文のメールを送ってくるあたりに、自分の想いをメディアで表明したいという彼の気持ちの強さが、感じられます。

テレビ界の絶対君主だった島田紳助


今やこんなカタチでしか、発言を聴くことはありませんが、2000年代、紛れもなく、彼はテレビ業界で王朝を築いていました。
『行列のできる法律相談所』、『深イイ話』、『クイズ!ヘキサゴン』など、自身が司会を務める番組は悉く高視聴率。音楽業界に進出したかと思えば、手掛けたグループは即オリコン1位。さらに、『行列~』と『M-1グランプリ』という、二大ドル箱コンテンツを発案…。
まさに、喋れて仕切れるプロデューサー、もとい、日本一有名なフィクサーといった風情でした。
その権勢がピークに達したのは、2009年~2010年。フジテレビ夏の祭典『FNS26時間テレビ』の総合司会に、2年連続で選出された時期でしょう。どちらの年も、“紳助ファミリー”と呼ばれる、『クイズ!ヘキサゴン』に出演するお気に入りのタレントたちが総出演。丸一日以上ぶっ通しで繰り広げられる、内輪ノリによる生温かな笑いと、自己完結的感動の押し売りに、ライトに26時間テレビを楽しみたい層は終始、心の置き所を失いました。
しかし、この時からフジテレビがかつての栄光を失いつつあったとはいえ、一つの放送局を2年連続でジャックしたという功績は比類なきものです。
紛れもなく、この時の紳助はテレビの中心にいたと言えるでしょう。

東スポでスッパ抜かれた「7人の喜び組」


権力を得ると、色に走るのが男の常。芸能界の帝王として君臨していた紳助が、何時ぞやの東スポの一面で「紳助 喜び組疑惑 7人の女実名」とスッパ抜かれていたのも、ある種、自然と摂理と言えるでしょう。記事の内容は、紳助のメールが流失し、そこに関係をもつ女性の名前が明記してあった、というもの。その実名を報じられた7人の内の1人が、ほしのあきでした。
2011年に一回り年下のジョッキー・三浦皇成と結婚。それを機にグラドルから主婦タレントへ転身するも、2012年のぺ二オク詐欺に加担したとして、事実上の活動休止状態にあるほしのあき。
彼女と紳助との関係は、東スポ報道以前から度々噂されていましたが、そんな話が出るようになるさらに前、ある番組が放送され、視聴者に衝撃を与えました。

番組中たびたび出たテロップ「※この不倫劇は非常にリアルですが、あくまでも演技です」


それは、2006年のお正月に放送していた『島田紳助の人間観察劇場2』という特番でのこと。この番組、つまるところ人間観察という名のドッキリカメラなのですが、その中でやっていた「アイドルと先輩芸人 クローゼット硬直男」という企画に、紳助とほしのあきが「実は不倫交際している」という体の仕掛け人として登場します。ターゲットとなったのは、タカトシのタカです。

流れとしては、タカがほしのに自宅へ招かれた際に、紳助が突如来訪。ほしのに促され、慌ててクローゼットに隠れたタカが、この吉本の大先輩とアイドルの不倫現場を目撃してしまう……というものです。

何といってもこの企画。2人の演技が、異常なほどリアルです。いや、本当に演技だったのでしょうか? 「今日泊まるわ」「エッチしよ」と、ほしのを後ろからそっと抱きながらささやく紳助と、それを聞き、女の顔になるほしの。「※この不倫劇は非常にリアルですが、あくまでも演技です。」と、企画中しきりにテロップが入っていたのですが、今考えると、すごく白々しいです。

この放送をきっかけに交際し始めたのか、すでに交際していたのか、そもそも交際の事実すらなかったのか……。真相は分かりませんが、この映像がものすごく面白いのは間違いありません。

(こじへい)
※イメージ画像はamazonよりほしのあき写真集『A』