数多くの国民的ヒット曲を生み出してきたサザンオールスターズ。ノリのいいサウンドに乗る軽妙な歌詞は、いかがわしさや妖しさも極上のスパイスとなっている訳だが、長いサザンの歴史の中には、そのスパイスの中でも「エロ」を全面に押し出したシングルが3曲ある。


桑田佳祐いわく「エロス三部作」と呼ばれているその作品たちがいかに「エロ」なのか、真面目に考えてみたい。

1992年7月18日発売『シュラバ★ラ★バンバ』


TBS系ドラマ『ずっとあなたが好きだった』挿入歌。佐野史郎の怪演によるマザコンキャラクター「冬彦さん」で有名なドラマだ。
ちなみに主題歌の『涙のキッス』は同日発売のシングルである。

日本語が英語のように聴こえる桑田節はのっけから全開。
「シュラバ~」から始まる出だし。筆者は歌詞カードを見るまで、意味や文法はさておき「シュラバランバtouch me you」に聴こえていたが、正解は「修羅場穴場女子浮遊」

こんなの絶対分かるわけがないし、「悶々」の表記が「悶☆MOAN」であり、「モンモォァン」と歌うセンスも桑田にしかありえない。

ユーロビート調のグルーヴ感の中には、卑猥なメッセージが隠されているのも面白い。
「Xがすごいじゃない Yが上手いじゃない」「Xがいいじゃない Yが黒いじゃない」とあるが、この方程式の「X」は「腰」、「Y」は「股」とすると実にしっくりくる。(つまり、「W」があれば「胸」ということ)
また、謎の歌詞である「美少女に真紅のメロディを」。「真紅」=「深紅」であり、英語では「crimson」となる。この「crimson」には「血なまぐさい」という意味もある。
つまり、「美少女の純潔を奪う際の喘ぎ声」と解釈できてしまうのは、筆者の行き過ぎた妄想だろうか……?

1993年7月21日発売『エロティカ・セブン』


フジテレビ系ドラマ『悪魔のKISS』主題歌。レズレイプ、新興宗教、借金地獄と、タブーに触れまくった過激なドラマだ。
歌詞に「熱い乳房を抱き寄せりゃ」とあるが、ドラマ内であらわになった常盤貴子の胸を鷲掴みにしたのは寺脇康文であった。
もっとも、このお宝シーンのせいでソフト化は永久に不可能となっている。

太陽ではなく夜のネオンが似合うラテン歌謡であり、全編に渡って隠微なエロスを感じさせる楽曲ながら、過激な歌詞は「恋人同士だから飲む ロマンティックなあのジュース」ぐらいか?
「ロマンティックなあのジュース」は、どう考えても前述の「Y」が製造元としか思えなかったりするのである。

約180万枚の売り上げは『TSUNAMI』に次ぐサザンの歴代シングルセールス第2位。この振り幅の広さもサザンの魅力である。


1995年5月22日発売『マンピーのG★SPOT』


誰も覚えていないかも知れないが、日本テレビ系の番宣バラエティ『テレビおじゃマンモス』のエンディングテーマでもあった。

骨太なロックサウンドに乗る歌詞は、「ミルクいっぱの種子(たね)」「濡れた貝」などなど、前の2作に比べると比較的分かりやすくエロい比喩が散りばめられている。まあ、タイトルからして確信犯である。
「やがてマンピーはJuke Box」の部分は、「色々な音を奏でる」ことを意味すると思われるが、ジュークボックスはお金を入れないと音が鳴らない点まで踏まえると、より危ない内容になっていく。
また「マロニエの味が染みる」とあるが、マロニエは「西洋栃の木」のことであり、この栃の花からできるハチミツは非常に上質なもの。よって「マンピーの蜜」のことを表していると思われる。

あらゆる方面から「マンピー」を例える表現力に乾杯だ。

サザンには、今回紹介した「エロス三部作」以外にもエロ要素満載の楽曲は多数ある。
1998年10月発売のアルバム『さくら』に収録された『マイ・フェラ・レディ』はその筆頭であり、タイトルからして危険度MAX。
例によって何を歌っているか聞き取れないが、歌詞カードを見ると「舌の根を勃て 舐めくわえろ」「異常マラ食べさす裸女」などなど、卑猥な言葉が勢ぞろい。
シングルに掛かっていた「モザイク」「ぼかし」が一切なしの「モロ出し」といった趣に。

「言葉遊び」なのか「言葉責め」なのかも分からないが、こんな歌が許されてしまう桑田佳祐はやはり偉大な男だ。

(バーグマン田形)
エロティカ・セブン Single, Maxi