キャロ~ン!

日本テレビ系列で放送されていた『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』、通称「生ダラ」。とんねるずをメイン司会に1991年~2001年まで、まさに90年代の真っ只中にいたバラエティ番組だ。


とんねるずにとって1991年は「情けねえ」で紅白歌合戦に出場した年。パンツ1丁で「受信料を払おう」とボディペインティングをした、そんな突き抜けていた頃のとんねるずである。当然、『生ダラ』もキレキレで始まった。

【番組タイトルを伏せて始まった】


第1回の放送は1991年10月16日(水)21:00。この日のテレビ欄には「とんねるずの新番組」としか書いていなかった。とんねるずがMCであること、生放送であることしかわからない。番組タイトルは生放送中に発表されるというのだ。
気になってチャンネルを合わせると、とんねるずの2人がほぼ全裸で大暴れしているオープニングが流れる。

「とんねるずのオールナイトニッポン」では、番組開始からフリートークが30分ぐらい続いてようやくタイトルコール、という流れが当たり前だった。この生放送、ひょっとしたら放送中に発表されないかもしれない……という心配をよそに、意外と早く番組タイトルが発表される。スタジオの巨大モニターいっぱいに映された『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』のロゴ。ところどころ精子のようなイラストが入っている。時刻はまだ21時台。
親も一緒に観ている。

さらに下ネタ攻勢は続く。スタジオ観覧に集まった高校生たちを相手に、生放送で討論会をするコーナーが開始。討論のテーマは「愛のないセックスはいけないのですか?」。細かいやりとりまでは記憶にないが、石橋が「家族とした人いないの?」と会場に振っていたのを覚えている。そのフリに挙げられる手。
初回から猛スピードで飛ばす展開。まさか10年も続く番組になるとは全く思わなかった。

【福澤アナ、闘牛に踏まれる。アルフィー高見沢は骨折】


番組初期の名物企画が「闘牛」。石橋貴明がスペイン・マラガまで飛び、定岡正二、にしきのあきら、高見沢俊彦ら共に本場の闘牛と戦うという内容で、何度かシリーズ化された。闘牛の背中に祝儀袋がついているので、それを取ったら勝ちというルール。
闘牛場では「マラガ!」と股間を広げる一発ギャグでひとしきり盛り上がる。

闘牛場に現れた牛の名前は「ゴメス・ザ・ヒットマン・ロドリゲス」。石橋貴明が戦うのかと思いきや、同行していた福澤"ジャストミート"朗(当時日テレアナ)にムチャぶり。スーツの上着を脱いだだけの軽装でイヤイヤ闘牛と向き合うことになった福澤アナ。恐る恐る闘牛に近づくが、牛の角で勢い良く持ち上げられ転倒。牛に踏まれ蹴られの中を助け出され、「いつもこうだよー!」と絶叫。
スタジオではスロー再生で振り返った。

高見沢俊彦は真っ赤なギターに赤い布を取り付けたスタイルで登場。牛の本気さを見て思わずcharの「闘牛士」を奏でる。闘牛場に降り立ってもギターをかき鳴らしながら牛に近づくが、やはり高見沢も牛に突かれてギターは損傷。人差し指を骨折し、アルフィーのコンサートツアーに影響が出るところだったという。

石橋貴明は持ち前の勝負強さを見せ、闘牛から祝儀袋を奪取。
ピチピチの衣装の尻の部分が破れるというオチもつける。しかし石橋以上に見せ場を作ったのは、マネージャーのボブ市川。「マラガの海の贈り物」と勝手に名付けられ、福澤同様に闘牛に差し向けられるボブ。あえなく散ると思いきや、闘牛の角を両手でつかみ、足払いをして転ばせる大活躍。ケガも段取りも気にしない立場は強い。

【アイルトン・セナも登場】


他にも、木梨憲武&田口光久(メーランおやじ)のPK対決や、石橋貴明(アイルトン・タカ)のカート対決、スターにしきのドッキリ、デビット伊東のラーメン屋修行、あっくん十番勝負、憲三郎&ジョージ山本(北島三郎邸で勝手に高級な酒を飲む事件もあった)など、数々の名物企画が話題になった。

特にアイルトン・タカでは、アイルトン・セナ本人がカート対決に登場。タカが勝利し、セナのヘルメットをもらう約束をする。しかしその後、セナはサンマリノGP中にクラッシュして帰らぬ人に。約束のヘルメットはセナの死後、タカに届けられたのだった。

ちなみに、冒頭の「キャロ~ン」は番組中に急にとんねるずが使い出したギャグ。親指と小指を伸ばした手を振りながら舌を出しつつ「キャロ~ン」と言う。しばらく何の説明もなしに使われていたが、あまりに頻繁に使われるので、キャロ~ンの秘密を説明する緊急企画が登場。渡辺満里奈の友人が考えた「カワイイものが出す音」であることが明かされた。渡辺満里奈もその友人もスタジオに登場し、ご本人による「キャロ~ン」も披露されたが、散々とんねるずに消費されたあとだったので、スタジオも茶の間も「ほお」という空気であったのを覚えている。
(井上マサキ)
「悪い噂」
「大きなお世話サマー」